未払い残業代を請求されたら確認するべき5つのポイント

従業員から未払い残業代を請求されたら

未払い残業代

労働問題について会社の経営者から弁護士に寄せられるご相談で特に多いのが、未払い残業代に関するトラブルです。

たとえば、「ある日突然、従業員あるいはその代理人の弁護士から内容証明郵便が届き、多額の未払い残業代を請求された」というようなケースです。

そのような場合であっても、請求された金額を全額支払わないといけないとは限りません。

まずは会社側から法律上どのような反論ができるのか検討する必要があります。

このページでは、未払い残業代を請求された会社が検討するべき5つのポイントについて、企業法務に携わる弁護士が詳しくご説明します。

会社が未払い残業代を請求されたときに確認するべき5つのポイント

反論のポイント1 「残業代について消滅時効が完成している」

まず確認するべきなのが、消滅時効が成立しているかどうかです。

残業代は、給与支払日の翌日から起算して一定期間が経過すると消滅時効にかかります。

したがって、請求されている未払い残業代の支払日から数年が経過している場合、時効の利益を受ける意思を相手に伝えることで、支払い義務は消滅します。

これを「時効の援用」といいます。

相手に口頭で伝えるだけでも時効の援用は成立しますが、時効の援用を行った事実と日付を証明するために、内容証明郵便で時効援用通知書を送ることをお勧めします

多額の未払い残業代を請求されている場合でも、その大部分については時効が成立している場合もありますので、まずは慌てずに未払い残業代の支払日を確認しましょう

反論のポイント2 「従業員が主張している労働時間は事実と異なる」

労働時間

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。

そこで、従業員が主張している労働時間が、使用者の指揮命令下に置かれている時間と認定できるかが問題となります。

たとえば、タイムカード上は労働していることになるが、実際は休憩時間とは別に毎日1時間はタバコ休憩をしていたケースです。

タバコ休憩の時間は労働時間ではありませんので、その時間分の残業代請求は過剰ということになり、減額の反論が可能となります。

従業員の請求が必ずしも正しい訳ではありませんので、請求の根拠となっている資料や根拠資料と実態との間に乖離がないかについては必ず確認を行いましょう。

反論のポイント3 「残業を禁止していた」

残業禁止
会社が従業員に対して残業禁止命令を出していた場合、従業員からの残業代請求を否定することができる場合があります。

もっとも、「残業を禁止する」という命令だけでは、残業代請求への反論には使えません。

残業禁止命令は、残業を禁止する旨に加えて、残務についての具体的な処理(たとえば、管理職に引き継ぐなど)まで指示しておく必要があります。

また、残業許可制を採用している場合で、無許可での残業を黙認していると認定される場合は、残業代が発生すると判断されてしまいます。

反論のポイント4 「管理監督者であり、残業代は発生しない」

管理監督者

労働基準法では、「監督若しくは管理の地位にある者」、すなわち管理監督者に該当するものには、労働時間等に関する労働基準法の規定が適用されないとされています。

つまり管理監督者に残業代を支払う必要はないということです。

もっとも、残業代を請求した従業員が管理監督者に該当するか否かの判断は非常に難しいです。

次のような従業員からの請求があった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

  • 経営に関わっている従業員
  • 労務管理を行っている従業員
  • 自己の出退勤について裁量のある従業員
  • 他の従業員より処遇のいい従業員

なお、深夜労働に対する割増賃金は管理監督者にも支払う義務がありますので、注意してください。

反論のポイント5 「固定残業手当により残業代は支払い済みである」

固定残業手当

「定額残業代」や「みなし残業代」などの名目で毎月固定の残業代を支給している会社の場合、残業代を支払い済みであるという反論をすることが可能です。

雇用契約書や就業規則の規定を確認しましょう。

もっとも、前提として会社が採用している固定残業代の制度が法律上有効であることが必要です。

固定残業代制度を導入している会社は、その制度が法律上有効なのか確認しておきましょう。

残業代請求を放置しているとどうなる?

遅延損害金がかかる

従業員が在職中は年6%、退職後は年14.6%もの遅延損害金が発生します。

残業代自体が多額にのぼると遅延損額金の額も膨大になります。

労働審判を起こされる?

従業員から突然労働審判を申し立てられる場合があります。

労働審判は短期決戦ですので、短い期間での準備を強いられることになります。

裁判を提起される

裁判になれば、紛争は長期化し、その分遅延損害金も膨らみます。

付加金がかかる

裁判で会社が悪質であると判断された場合、ペナルティとして、残業代の額と同額までの範囲で付加金の支払いを命じられることがあります。

付加金の上限は残業代と同額の範囲までとされていますので、最大で残業代の2倍の額を支払わなければならない場合があるのです。

ブラック企業のレッテルを貼られる

残業代を支払わない企業であることがインターネット上でクチコミとして広がれば、取引先や顧客の印象が悪くなるだけでなく、今後の人材戦略に影響するおそれもあります。

とにかく早い解決を!

このように、残業代に関する紛争が長期化すると多くのデメリットがあります。

未払い残業代対策は弁護士にご相談ください

弁護士吉原

このように、従業員から未払い残業代を請求されたときには、会社側からどのような反論が可能なのか冷静に検討し、実態に応じた適切な対応をとる必要があります。

従業員から未払い残業代を請求されたときには、できるだけ早く労働問題に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします

また、残業代問題を発生させないための雇用契約や就業規則の定め方についても、弁護士からアドバイスを差し上げることが可能です。

法的な問題が起きてから対応を検討するのではなく問題を未然に防止する「予防法務」を実践するため、労働問題に精通した弁護士をご活用ください。

残業代の問題でたくみ法律事務所が選ばれる4つのポイント

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顧問契約のすすめ

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人事・労務に関する紛争を未然に防ぐためには、弁護士が企業内部の実情を理解したうえで継続的にアドバイスを行うことが非常に重要です。

顧問契約を結んでいただくことで、人事・労務の問題のみならず、債権回収、不動産問題、契約書の問題など、企業が直面する法律問題について幅広く弁護士にご相談いただくことが可能です

当事務所との顧問契約についてはお電話やメールでお気軽にお問い合わせください。

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