労働者ってどんな人?労務管理の基本となる「労働者性」について解説

「労働者」ってどんな人?労務管理の基本となる「労働者性」について解説

雇用契約書

皆さんは「労働者」という言葉を聞いてどのような人を想像するでしょうか?

「上司の指示や監督のもとで仕事をする人」といった漠然としたイメージを抱く方が多いかもしれません。

労務管理においては、そのような一般的な用語としての「労働者」ではなく、労働基準法を始めとした法律上の「労働者」に当たるかどうかの判断が必要になることがあります。

この問題を「労働者性」といいます。

労働基準法の定め

労働基準法では、「労働者とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と定義されています。

かみ砕いていうと、労働者とは、経営者等の使用者の指揮命令を受けて労働を行い、その労働の対価としてお金をもらう者をいいます。

使用者と労働者の間には「使用従属関係」があります。

労働者に当たる?当たらない?

労働者に該当する意外な人の例としては次のような人たちがいます。

  1. 法人の重役で業務執行権または代表権を持たず、工場長、部長の職にあって賃金を受ける者
  2. 労働組合の専従職員
  3. 新聞配達員

逆に、次のような人たちは労働者に該当しないのが原則です。

  1. 個人事業主
  2. 法人、団体または組合等の代表者また執行機関たる者
  3. 下請負人
  4. 家事請負人(法人に雇われ、その役職員の仮定に置いて、その家族の指揮命令の下で火事一般に従事している者)

なお、正社員であるかそうでないかは労働者性の判断とは関係ありません

同居の親族

同居の親族の労働者性については注意が必要です。

同居の親族は労働者とならないのが原則ですが、以下の3つの要件を満たす場合には例外的に労働者となります

  1. 事務または現場作業等に従事していること
  2. 業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること
  3. 就労の実態が当該作業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること

なお、労働基準法は「同居の親族のみを使用する事業」には適用されないとされており、そのような場合はそもそも労働者性が問題となりません。

これは、同居の親族間におけるトラブルは「労使対立」というより「親子げんか」というべきもので、そのような関係に労働基準法は立ち入るべきでないとされているからです。

労働者?委託先?

業務委託契約や請負契約は独立した事業者間の対等な関係での契約であり、雇用契約のように使用従属関係は生じません。

ところが、形式的には業務委託契約や請負契約であっても、その実態は雇用されているのと変わらないような場合には、労働者性が認められる場合があります。

すると、会社としては個人事業主と業務委託契約や請負契約を締結したつもりだったのに、残業代の支払い義務が発生したり、解雇の制限などの規制がかかることになります。

このように、労働者性の判断を誤ると会社は思わぬ不意打ちを被る可能性があるのです。

労働者性の判断要素

労働者性の有無を判断する際に考慮されるポイントはいくつかありますが、ここではそのうち重要なものをご紹介します。

諾否の自由の有無

上司から仕事の依頼や業務の指示がなされたとき、使用従属関係にある労働者は原則としてこれを拒否することができません。

雇用契約の効果として、会社には、労働者に対して労働義務の遂行について指揮命令を行う権利が生じるからです。

他方で、業務委託契約や請負契約を結んだ個人事業主は、本来、契約で定められた内容とは異なる業務を拒否する権利を有しています。

したがって、業務を遂行するにあたって指揮監督が存在するかどうか、そして、相手にそれを拒否する自由があるかどうかが問題となります。

拘束性

業務委託契約や請負契約の場合、雇用契約のように定時に拘束されたり、勤務場所を指定されることはありません。

したがって、「9:00から17:00は会社で業務を行うこと」とったように勤務時間や勤務場所を指定し、これを守らなかったときに指導を行っているような場合には、労働者性が認められやすくなります。

最後に

労働者性が認められると、次のような規制が適用されます。

  • 解雇権濫用の法理
  • 使用者による有期雇用契約の更新拒絶の制約
  • 残業代支払い義務規定を含む労働時間法制の適用
  • 労災保険の適用

雇用契約ではなく請負契約や業務委託契約で人材を活用する際には、この記事で説明したようなポイント踏まえ、労働者だと認定されることがないよう十分に注意が必要です。

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