解雇期間中の賃金の支払いについて弁護士が解説

解雇期間中の賃金の支払いについて

悩み

よく知られているように日本では正社員の解雇が厳しく制限されており、従業員を不用意に解雇してしまうと、後になって裁判所から解雇は無効であると判断されることがあります。

では、裁判所において解雇が無効だと判断されたとき、その間の賃金はどうなるのでしょうか

原則として支払い義務がある

民法の536条2項には、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない」と定められています。

したがって、不当解雇を行った会社は、原則として、従業員に対して解雇期間中の賃金を全額支払う義務があるということになります。

会社の不当解雇という違法行為により従業員が労務を提供できなくなった以上、会社はその間の賃金を支払う義務を免れることはできないということになります。

たとえば、会社による解雇が行われてから、従業員が訴訟を提起して裁判所が不当解雇という判決を出すまでに6か月間かかったとしましょう。

不当に解雇された従業員は、この6か月間、社員としての地位にあるにもかかわらず給与を支払われていなかったことになります。

したがって、会社は6か月分の給与を支払わなければならないのが原則です。

解雇期間中に他の会社から賃金を受け取っていた場合

では、従業員が解雇期間中に他の会社で勤務し、賃金を受け取っていたときはどうでしょうか。

この場合、再就職した会社の賃金に加えて解雇された会社の賃金を全額受け取ることができるとすると、二重取りを許すことになり公平でないように思われます。

民法536条2項の第2文には、債務者が反対給付を受け取ることができる場合において、「自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない」と規定しています。

すなわち、従業員が解雇期間中にほかの会社で働くなどして収入を得ていた場合、その分の収入を控除して支払うことができるということになります。

従業員が解雇期間中に他の職業に就いて得た利益のことを「中間利益」といいます。

平均賃金の6割は支払い義務がある

もっとも、従業員が中間利益を得ていれば賃金の支払いを全額免れるわけではありません

「あけぼのタクシー事件」と呼ばれる最高裁判例は、従業員がどれだけの額の中間利益を得ていたかにかかわらず、会社は最低でも平均賃金の6割を支払わなければならないとしています。

これは労働基準法26条で「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」とされているからです。

また、賃金から控除される中間利益は賃金の支給対象期間と時期的に対応する期間内に得たものでなければいけません。

平均賃金の6割を超える部分の扱い

では、休業期間中に従業員が得ていた中間利益が解雇された会社の平均賃金を超えていた場合、平均賃金の6割を超える部分はどのように扱われるのでしょうか。

この点ついて判示した最高裁判例として「いずみ福祉会事件」があります。

まず、使用者が労働者に対して負う解雇期間中の賃金支払債務の額のうち平均賃金の6割を超える部分から中間利益の額を控除することは許されます。

中間利益の額が平均賃金額の4割を超える場合には、さらに平均賃金の基礎に算入されない賃金(賞与等)の金額を対象として利益額を控除することができます

この場合も賃金の支給対象期間と時期的に対応する期間に得たものに限られ、支給対象期間が異なる時期に得た中間利益は控除できません。

最後に

弁護士向井智絵

このように、会社にとって不当解雇に関する紛争は長期化すればするほど傷口が広がっていくことになります。

そこで、訴訟になる前の交渉などにより早期に解決することが重要になります。

解雇の問題でお困りのときは、早めに弁護士にご相談ください。

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