契約社員を雇い止めするときの注意点を使用者側専門の弁護士が解説

契約社員を雇い止めするときの注意点

「雇い止め」ってそもそも何?

雇い止め

雇い止めとは、契約社員など会社と有期労働契約を締結した従業員について、契約期間満了時に契約更新をすることなく、契約期間満了を理由として契約を終了させることをいいます。

雇い止めは、あくまでも契約期間満了により新たな労働契約を締結しないことをいい、解雇のように契約期間中に従業員を辞めさせるものとは異なります。

解雇と雇い止めは性質の異なるものですが、どちらも従業員の生活に大きな影響を与える点では同じです。

日本では企業がそこで、解雇同様、雇い止めについても一定の制限が設けられています。

それが、「雇い止め法理」です。

このページでは、「雇い止め法理」の内容と雇い止めをするときに注意するべきポイントを弁護士が解説します。

雇い止めを制限する「雇い止め法理」とは

雇い止め法理とは、従業員に契約が更新されることを期待させるような事情がある場合には、雇い止めに一定の制限を設けるというルールです。

雇い止め法理が適用される場面は、大きく分けて「実質無期タイプ」と「期待保護タイプ」の2つに分けられます。

実質無期タイプ

契約上は有期労働契約ですが、実質的には雇用期間の定めのない従業員と同様の取り扱いを受けている場合です。

期待保護タイプ

実質的には、雇用期間の定めのない従業員と同視はできないが、今後も契約が継続するものと従業員が期待し、その期待が合理的である場合です。

更新が反復継続している「反復更新型」と、会社が更新の継続を明示しているといった「更新約束型」に分類されます。

雇い止めが違法とされるとどうなる?

それぞれのパターンに応じて、考慮する事情は異なります。

万が一、雇い止め法理から当該雇い止めが違法と判断された場合、雇い止めが無効とされるばかりか、労働審判を起こされ高額な損害賠償責任を負う可能性もあります。

「無期転換ルール」と雇い止め

雇い止めに関連して、2013年に重要な法改正が行われました。

それが、「無期転換ルール」です。

「無期転換ルール」とは、有期雇用労働者が契約を更新した結果、通算5年を超える場合に労働者が会社に対して無期雇用に転換するよう求める権利を認めたものです。

2013年4月1日以降の有期雇用を対象としているため、2018年4月1日からこの無期転換権を有する労働者が発生していることになります。

会社にとっては、従業員に無期転換権を行使させないために、5年を超える前に雇い止めをしたいと考えるでしょう。

そのため、今後ますます雇い止めのトラブルは増加するものと考えられます

雇い止めをするときのポイント

このように、雇い止めは雇い止め法理により無効と判断されるリスクがあります。

それでは、有効に雇い止めにするためにはどのようにすればよいのでしょうか

契約のポイント

雇用契約書

厚生労働省は、有期労働契約の締結、更新、そして雇い止めをめぐるトラブルを防止するための「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を公表しています。

それによると、使用者は、有期契約労働者に対して、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示しなければいけません

更新の有無の具体的な内容は、①「自動的に更新する」、②「更新する場合があり得る」、③「契約の更新はしない」などがあります。

②の場合には、使用者は労働者に対して契約を更新する場合またはしない場合の判断の基準を明示しなければなりません。

たとえば、「契約期間満了時の業務量により判断する」、「労働者の労務成績、態度により判断する」などです。

これらの事項は、労働条件通知書などの書面で労働者に対して通知することが望ましいとされています。

契約更新の際にはあらかじめ契約書の内容をよく検討しておき、次回に契約を更新しない可能性がある場合にはそのことについて合意しておくのがポイントです。

契約更新時のポイント

面談

有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者を雇い止めする場合には、少なくとも契約の期間が満了する30日前までに、その予告をしなければいけません

30日の制限にかかわらず、雇い止めを行うことを決めた場合には早期に対象者に伝え、面談を実施して雇い止めの理由を丁寧に説明しましょう。

労働者が雇い止めの理由について証明書を請求した場合には、使用者は証明書を遅滞なく交付しなければいけません。

契約期間の満了を雇い止めの理由とすることは認めらません。

雇い止めの理由として、「前回の契約更新時に次の契約を更新しないことが合意されていた」、「契約更新当初から、更新回数の上限を設けていた」「担当していた業務が終了・中止した」などが例示されています。

最後に

弁護士野中

このように、雇い止め法理のもとでは、「次も契約が更新されるだろう」という労働者の期待が厚く保護されています。

雇い止めのトラブルを防ぐためには、契約時に労働者との合意内容をよく検討しておき、雇い止めをするときには労働者が納得できるよう準備しておくことが肝心です。

契約社員の労働問題についてお困りの際には、企業法務に精通した弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします

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