「賃金の支払の確保等に関する法律(賃金支払確保法・賃確法)」の基礎知識

「賃金の支払の確保等に関する法律」の基礎知識

弁護士向井

賃金の支払の確保等に関する法律」は、企業経営が不安定になったときや労働者が会社を退職するときに賃金の支払い等の適正化を図るため、労働者に対する保護措置や貯蓄金の保全措置を講じ、労働者の生活の安定に資することを目的とした法律です。

賃金支払確保法、あるいは賃確法とも呼ばれることもあります。

今回はこの法律に規定されている基本的な内容を解説します。

退職労働者の賃金にかかる遅延利息

賃金の支払の確保等に関する法律で事業主がまず知っておくべき規定が、退職労働者の賃金にかかる遅延利息に関する定めです。

事業主は、退職した労働者に支払うべき賃金を退職の日までに支払わなかった場合には、退職日または賃金の支払い期日の翌日から支払いをするまでの期間について、未払い賃金の額に年14.6%の率を乗じた額を遅延利息として支払わなければならないとされています(第6条)。

民法では法定利率を年3%と定めていますので(同法第404条2項)、賃金を支払わない事業主には大きなペナルティが課せられていることになります。

なお、賃金の支払いの遅延が天災地変その他のやむを得ない事由により生じている場合には、その事由の存する期間については遅延利息を支払う必要は生じません。

未払い賃金の立替払い

会社が倒産すると、そこで働いていた人は突然退職を強いられて従業員としての地位を失い、賃金が十分に支払われず生活に困窮してしまうおそれがあります。

そこで賃金の支払の確保等に関する法律では、労災保険法の適用事業に該当する事業の事業主が破産手続開始の決定を受けた場合などに、退職した従業員の未払い賃金があるときは、一定の範囲内のものを事業主に代わって労働者に支払うこととされています。

立替払い制度は労災保険の社会復帰促進等事業として行われ、政府(独立行政法人労働者健康安全機構)が実施しています。

毎月支払われる賃金だけでなく、未払いの退職金も立替払いの対象となります。

どのような場合に立替払いが行われるか?

立替払いの対象となるのは、次のいずれかの事由に該当した場合です。

  1. 破産手続開始の決定を受けた場合
  2. 特別清算開始の命令を受けた場合
  3. 再生手続開始の決定があった場合
  4. 更生手続開始の決定があった場合
  5. 事業主が事業活動に著しい支障を生じたことにより、賃金を支払うことができない状態となったことについて退職労働者の申請に基づき労働基準監督署長の認定があった場合

なお、対象となる事業主は「1年以上にわたって当該事業を行っていたもの」に限られ、退職者は破産手続開始等申立日または認定の申請日の「6か月前の日から2年以内」に退職している必要があります。

立替払いの額

立替払いの額は原則として未払賃金総額の80%ですが、基準退職日の年齢に応じて次の上限額が設けられています。

  • 30歳未満:110万円の80%(88万円)
  • 30歳以上45歳未満:220万円の80%(176万円)
  • 45歳以上:370万円の80%(296万円)

貯蓄金の保全措置

労働基準法では、使用者が労働者の貯蓄金をその委託を受けて社内預金として管理することが認められています(同法第18条)。

賃金の支払の確保等に関する法律では、事業主が労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入れであるときは、貯蓄金の保全措置を講じなければならないとしています。

また、退職手当を支払うこととしている場合には、退職手当の支払いに充てるべき額について上記の貯蓄金の保全措置に準ずる措置を講じることが努力義務として定められています。

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