労働時間との違いは?休憩時間の基本ルールと「休憩の3原則」

労働時間との違いは?休憩時間の基本ルールと「休憩の3原則」

労働時間

会社は従業員の労働時間に応じて休憩を与えることが労働基準法で義務付けられています。

この記事では、会社の経営者や人事・労務担当者が最低限押さえておくべき休憩の基礎知識と、休憩に関する基本的なルールである「休憩の3原則」について解説いたします。

弁護士監修!休憩時間に関する就業規則規定例

労基法の定め

労働基準法では、休憩について次のように定められています。

使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

ここで注意しなければいけないのは、労働時間が6時間または8時間を「超える」場合とされていることです。

つまり、労働時間が6時間のときには休憩を与える必要はなく、労働時間が8時間のときには45分の休憩を与えればよいことになります。

もちろん、労基法の基準を上回る休憩時間を与えることは問題ありません。

実際、所定労働時間が8時間であるにもかかわらず1時間の休憩を与えている会社は多くあります。

なお、8時間を超える労働について規定はなく、16時間の隔日日勤務のような場合でも1時間の休憩を付与すれば法律上は問題ありません(もっとも、実際には1時間の休憩を2回与えるなどの対応をすべきでしょう。)

労働時間と休憩時間

問題となることが多いのが、「労働時間」の解釈です。

「労働時間」とは、使用者の明示または黙示の指示によって、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。

判例では、仮眠時間など労働者が実際に労務に従事していない時間であっても、使用者からの指揮命令下に置かれていると客観的に評価される時間であれば、労基法上の労働時間に該当するとされています。

たとえば、休憩時間としておきながら、来客や電話が来たときの当番として会社に待機させている場合、休憩時間ではなく労働時間とされる可能性が高いです。

休憩を付与しなくてよい者

法律上、休憩を付与しなくてよいとされている者もいます。

代表的な例は次の2つです。

  • 労基法41条の「管理監督者」に該当する者
  • 高度プロフェッショナル制度の対象労働者

休憩の3原則

労働基準法に定められている休憩に関する基本的なルールは「休憩の3原則」と呼ばれています。

すなわち、「途中付与の原則」「一斉付与の原則」「自由利用の原則」です。

「休憩の3原則」には例外が認められる場合もありますので、どのような場合に例外が認められるかを含めて理解しておく必要があります。

途中付与の原則

休憩は労働時間の途中に与えなければならないという原則です。

したがって、休憩時間を勤務時間の始めや終わりに与えることは、たとえ従業員の同意があっても認められません。

一斉付与の原則

休憩時間は一斉に与えなければならないという原則です。

一斉とは、その事業場にいる全ての従業員(派遣労働者を含む)が同時に休憩を取ることを意味します。

この原則にはいくつかの例外が認められています。

一斉付与の原則の例外①

まず、次のいずれかに該当する場合には休憩を一斉に付与する必要はありません。

  • 坑内労働の場合
  • 運輸交通業、商業、金融広告業、映画演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業または官公署の事業の場合

一斉付与の原則の例外②

上の場合に該当しなくても、労使間で労使協定を結んだときは休憩を一斉に与える必要はありません。

たとえば、製造業では、従業員に一斉に休憩を与えると機械を止めなければならない時間が発生して稼働率が下がってしまいます。

そこで、労使協定を締結して交代で休憩を与えることがよく行われます。

労使協定には、一斉に休憩を与えない労働者の範囲や、それらの労働者に対する休憩の与え方について定める必要があります。

なお、派遣労働者がいる場合の労使協定は派遣先の事業所で締結しなければいけません。

自由利用の原則

休憩は自由に利用させなければならないという原則です。

休憩時間は労働者を労働から完全に解放させ、休息を取らせることを趣旨とするものです。

したがって、使用者は休憩時間中の労働者の行動に制約を加えることはできず、合理的な理由がある場合に最低限の態様の規制ができるにすぎないとされています。

もっとも、休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害しない限り差し支えないとされています。

たとえば、休憩時間中の外出を許可制としたり、外出する際に会社の制服から私服に着替えるように指示することは、自由利用の原則には反しません。

また、すでに説明したとおり、形式的には休憩時間となっていても実際は使用者の指揮命令下にあるような場合には、休憩時間ではなく労働時間となります。

自由利用の原則の例外

次の者については休憩を自由に利用させなくても差し支えないとされています。

  • 坑内労働をしている者、警察官、消防吏員、常勤の消防団員、准救急隊員および児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者
  • 乳児院、児童養護施設および障害児入所施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者であって、使用者があらかじめ所轄労働基準監督署長の許可を受けたもの
  • 児童福祉法に規定する居宅訪問型保育事業に使用される労働者のうち、家庭的保育者として保育を行う者(同一の居宅に置いて、一の児童に対して複数の家庭的保育者が同時に保育を行う場合を除く。)

最後に

弁護士野中

休憩に関して弁護士にご相談が寄せられることが多いのが、「休憩の扱いにしていた時間について、実際は労働時間だったと主張され、その分の未払い賃金を請求された」という事例です。

このようなトラブルを防ぐためには、休憩についての基本的なルールを理解し、法律に従って適切に運用することが必要です。

労務管理体制の整備についてご質問があれば、弁護士にお気軽にご相談ください。

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