運送業の残業代問題を弁護士が解説【固定残業代規定のひな形付】

運送業における残業問題

運送業

2017年、ヤマト運輸がセールスドライバーへの残業代の未払いなどを理由に労働基準監督署から2回にわたって是正勧告を受けていたことがわかりました。

この事件では労働審判が行われ、セールスドライバー側が求めた未払い残業代に関する主張をほぼ認める内容の調停が成立したとされています。

2015年には月に100時間以上の残業をしていた電通の社員が過労自殺した事件が社会の注目を集め、電通は大きな非難を受けました。

このように、長時間労働に対する社会的な目は厳しくなっており、法令違反をした事業者に対する取り締まりや処分も厳格化しています

このページでは、未払い残業代の問題にどのように対処するべきか、運送業に絞ってご説明します。


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運送業で残業代の問題が多い3つの理由

運送業は残業代の問題が発生しやすい業界であるといわれています。

それには3つの理由があります。

労働時間が長時間になりやすい

まず長距離トラックドライバーは、渋滞予測が困難であったり、積み下ろしの順番待ちの時間があることから、労働時間が想定より長くなり残業代が発生しやすい環境にあります。

労働時間の客観的な証拠が残りやすい

労働者が未払い残業代を請求する際には、労働時間を証明する客観的な証拠を用意する必要があります。

ドライバーはタイムカードを利用しない場合でもタコグラフなどにより労働時間が明確になるため、客観的な証拠に基づく残業代請求がしやすいのが特徴です。

固定残業代制を採用している業者が多い

運送業では、残業時間に関わらず一定の残業代を支払う「固定残業代制」を採用している業者が多くあります。

しかし、雇用契約書や就業規則に適切な形で規定がされていない、違法な固定残業代制と判断され、残業代の支払い義務が生じることがあります。

次に、運送業の残業代対策の勘所となる固定残業代制について詳しくご説明します。

固定残業代制が無効とされるリスク

固定残業代制とは

運送業

通常、残業代は残業時間に応じて支払われます。

それに対して、残業時間にかかわらず一定の残業代を支払うのが固定残業代制です。

固定残業代制には、従業員のモチベーションを向上させ、残業時間を抑制できるメリットがあるため、多くの企業で採用されています。

しかし、固定残業代制が無効と判断され、多額の残業代の支払いを余儀なくされるケースが増えています。

固定残業代制が無効となるとどうなる?

例として、月額賃金が30万円のうち5万円を30時間分の固定残業代として支払っているケースを考えてみましょう。

毎月30時間の残業が6ヵ月発生していると考えると、もし固定残業代制が有効であれば、固定残業代を支払っている以上、追加の残業代は発生しません。

しかし固定残業代制が無効の場合は、残業代は1円も支払っていないと認定されてしまいます

さらに5万円として払っていたのは残業代ではなく基本給の一部とされるため、基本給は25万円ではなく、30万円として計算されることになります。

それに基づいて時給を計算し、割増率と残業時間をかけると、約40万円も余分に支払わなければいけないことになります。

固定残業代制を導入するときの3つのポイント

どのようなときに固定残業代制が有効とされ、どのようなときに無効となるかは、近年の裁判例で有効か無効かの枠組みが明確化してきました。

固定残業代制を導入するときには、次の3つがポイントを確認しておく必要があります。

  • Point 1 労働契約の内容となっていること
  • Point 2 固定残業代にあたる部分が固定給と明確に区分されていること
  • Point 3 残業時間が固定残業代制で定められた時間を超えた場合は割増賃金を支払うこと

さらに、設定された時間が45時間を超える場合や、固定残業代部分が割増時間外手当額や最低賃金を下回っている場合も問題となります。

固定残業代制についての詳細はこちら

委託契約にしておけば大丈夫?

契約書

では、運転手との間の契約を雇用契約ではなく委託契約にしておくことで、このような問題を解決できるのでしょうか。

しかし、そのような考え方には注意が必要です。

なぜなら、労働法の適用があるかどうかは労働形態の形態ではなく、運転手が仕事を断れるか、会社が指揮・監督をしているか、勤務時間や勤務場所が決められているか、従業員が会社と無関係の人を使って代わりに働かせられるかなどの事情を総合的に考慮して判断されるからです。

労働法の適用がない場合でも、運送業では独占禁止法、物流特殊指定、下請法、トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドラインなどさまざまな規制があります。

これらの規制に照らして委託料金が安すぎると判断されれば、適正な価格との差額の支払いを命じられるおそれがあります。

さいごに

弁護士壹岐晋大

今後、ドライバーから運送業者に対する未払い残業代の請求は増えていくことが予想されます。

固定残業代の問題は就業規則や雇用契約書の文言を修正すれば解決するものではなく、労働時間の管理体制の構築も併せて進めていかなければなりません

就業規則整備や未払い残業代請求など、運送業の労働問題はたくみ法律事務所の弁護士にご相談ください


就業規則・雇用契約書パッケージプラン

労働問題に関する解決実績(一部)

Case.01 元従業員からパワハラ暴力で慰謝料請求された事案(裁判外で示談)
Case.02 セクハラで元従業員から労働審判を申したてられた(労働審判からの対応)
Case.03 元社員から時間外手当の支払いを求めて労働審判を申し立てられた(労働審判からの対応)
Case.04 退職勧奨の適法性が争われた労働審判で請求額を約5分の1に減額した事案
Case.05 高額の残業代の支払いを求められた労働審判で時間外労働の事実を争った事案
Case.06 労働審判で未払い残業代の請求額を大幅に減額するとともに、就業規則の変更を行った事案
Case.07 問題社員を試用期間満了後に解雇するため、本採用拒否通知書を作成した事案

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