運送業における休憩時間の管理を使用者側専門の弁護士が解説

運送業における休憩時間の管理

運送業

ドライバーが事業所を離れて業務に従事する運送業では、個々のドライバーの休憩時間の把握が困難です。

ところが、だからといって休憩時間の管理をずさんに行っていると使用者にさまざまなリスクがあります

この記事では、運送業における休憩時間の管理の問題について解説いたします。

運送業で休憩時間の管理が難しい理由

運送業において休憩時間の管理が問題となりやすいのにはいくつかの理由があります。

労働時間の管理が難しい

労働時間を適正に把握することは使用者に課せられた基本的な義務ですが、労働時間は拘束時間から休憩時間を引いて計算されますので、休憩時間がわからなければ労働時間を計算できません。

ところが運送業では、デジタコ(デジタルタコグラフ)やGPSで車両の位置や状況を確認することはできるものの、ドライバーがいつ休憩をとっているか正確に把握することはできません

そこで、運送業では、出社時刻と退社時刻をタイムカード等で確認し、休憩時間は運転日報等へ記録してもらうことによって労働時間を管理するのが一般的です。

しかし、ドライバー本人には休憩時間を細かく記録するモチベーションは働きませんし、正確に記録されているか使用者が確認することもできません。

荷待ち時間

荷待ち時間

運送業における休憩時間の問題を複雑にしている要因として、荷待ち時間の問題があります。

トラックのドライバーが時間どおりに集荷や配達を行う地点に到着しても、待機の時間が発生することがよくあります。

長時間の荷待ち時間が発生し、ドライバーがスマートフォンでゲームをしているような場合、外観上は休憩時間に当たるようにも思われます。

ところが、労働基準法では「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」は労働時間に当たるとされています。

つまり、トラックのドライバーが時間的・場所的に拘束され、労働から離れることを保障されていない場合には、荷待ち時間も労働時間に当たり、これを休憩時間の扱いにすることは違法とされるおそれがあります。

たとえば、車列の前進に合わせてトラックを前進させなければならない場合や、積荷を見張るためにトラックを離れられない場合などです。

名目的には食事に出かけるなど自由に行動することを認めていても、携帯電話に電話をしたらいつでも出られるようにしておくよう指導をしているような場合は労働時間と判断される可能性があります。

休憩時間を把握できていないとどうなる?

では、休憩時間を適正に把握できていないと使用者にとってどのようなリスクがあるのでしょうか

休憩時間分の残業代を請求されるおそれ

休憩時間を正しく管理していないと、ドライバーから残業代請求をされるときに「休憩時間をとることができていなかった」という主張をされる可能性もあります。

未払い残業代を請求するとき、労働者側が厳格に労働時間を立証しなければならないとも思えますが、ドライバーが信用性の高い証拠を集めており、使用者の労働時間の管理がずさんだったとしたら、

労働審判などで労働者側に有利な判断がなされる可能性は大いにあります。

休憩がとれていなかったと認定されれば、会社は、休憩時間分の残業代を支払わなければいけません

損害賠償を請求されるおそれ

損害賠償請求

使用者は、労働者の安全と健康を守るために必要な配慮をする義務を負っています。

労働者の労働時間、休憩時間、休日、休憩場所などについて適正な労働条件を確保することも、この義務の一部分です。

休憩を取れていなかったことにより労働者が過労死したり、疲労による事故を起こした場合には、会社が義務違反を問われ損害賠償責任を負うおそれがあります。

休憩時間を正確に把握していなければ、そのようなときに反論を行うことができません。

長時間労働に繋がるおそれ

長時間労働

労働基準法では、労働者の労働時間が6時間を超える場合には使用者は休憩時間を与えなければいけないとされています。

さらに、運送業を対象とした「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)では、連続運転は最大4時間までとされ、その後30分以上の休憩をとらなければいけないとされています(30分の休憩は10分以上であれば分割することも可能です。)

ドライバーの休憩時間について特別に細かいルールが定められているのは、トラック運転手の長時間労働は居眠り運転などに直結し、死傷者を伴う重大な交通事故に繋がる可能性があるからです。

そのため、労働基準監督署は違法な長時間労働をさせている運送業者に対して監視の目を強めており、悪質な場合は経営者が送検されたり、逮捕されることすらありえます

最後に

ドライバーの意識の変化

かつては運送会社に所属するドライバーは会社の従業員というよりも自営業者的な意識が強かったため、会社側も労務リスクに対する意識が希薄な傾向があります。

しかし、今ではドライバーの意識は変わっています

たとえば、インターネット上にはトラック運転手向けに未払い残業代の請求方法を解説しているサイトが数多くあり、「もらえるものはもらっておきたい」と考えるドライバーが増えています。

つまり、運送業では労働問題が発生しやすい条件が揃っているにもかかわらず、経営者側の労務リスクに対する意識が薄いというギャップがあるのです。

弁護士にご相談ください

弁護士小林

労務リスクに対する対策を十分に行っていないときは、早急に休憩時間の管理を含めた労務管理の見直しをすべきです。

労務管理に不安をお持ちの運送業の経営者様は、どうぞお気軽にたくみ法律事務所の弁護士にご相談ください。

使用者側専門のたくみ法律事務所では、企業からのご相談は相談料無料で承っております。


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