遺品整理業の皆様へ
お客様とのトラブルが多発しています
亡くなった方の親族等から依頼を受けて、故人が所有していた物の整理や処分等を行う遺品整理サービスは、核家族化や高齢化に伴う高齢者の独居世帯の増加の中で需要が増し、競争が激化している分野です。
他方で、遺品整理業者と消費者とのトラブルも多発しています。
よくあるトラブル
国民生活センターの『こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル』によると、全国の消費生活センターに寄せられる相談の例として次のようなものがあります。
- 「処分しない予定の遺品が処分された」
- 「見積もりのつもりで呼んだ事業者に契約をせかされた」
- 「高額なキャンセル料を請求された」
- 「作業時に予定外の追加料金を請求された」
このようなトラブルを防ぐためには、契約書に免責事項を設けて責任の範囲を明確にするなど、生じうる問題を想定したうえで契約書等の見直しをするべきです。
また、料金体系を明確化し、必要事項について十分打ち合わせを行い、見積書を交付するなどしてご遺族・ご依頼者との間で齟齬をきたさないようにすべきでしょう。
万が一お客様とのトラブルに発展してしまったときには、事実関係を慎重に調査したうえで、場合によっては適正な範囲の金銭を支払うことにより解決を試みるなど、誠意のある対応をする必要があります。
各種法規制への対応
遺品整理業の事業者を直接規制する法律はありません。
しかし、廃棄物処理法、貨物自動車運送事業法、古物営業法、消費者契約法、個人情報保護法などの関連法令を遵守することが求められるほか、故人の尊厳を保ち、ご遺族の想いやご要望の尊重するなどご遺族へ配慮しなければならないことは言うまでもありません。
また、消費者が適正な選択と決定ができるようにサービス内容や料金に関する情報を提供し、虚偽表示や誇大表示等の景品表示法の不当表示にあたる広告を行わないように注意をする必要もあります。
インターネットやチラシを見た消費者から連絡を受け、自宅を訪問して契約するようなときは、特定商取引法の訪問販売に該当する場合があります。
その場合、お客様への書面交付義務が生じたりクーリングオフの適用対象となるなどいくつかの規制の対象となることがあります。
弁護士にご相談ください。
このように、遺品整理業では顧客とのトラブルが生じやすいばかりか様々な法律による規制の対象となることから、正確な法的知識に基づいた対応が求められます。
弁護士にご相談いただくことにより、交渉等によるトラブルの解決に向けた対応はもちろん、コンプライアンスの強化や紛争の予防のための具体的なアドバイスが可能です。