運送業の法律問題を弁護士が解説

運送業の皆様へ

運送業の法律問題

需要の増加と人手不足

運送業

運送業では慢性的な人手不足が続いています。

2018年3月に日銀が発表した「企業短期経済観測調査(短観)」では、運輸・郵便業は宿泊・飲食サービスに次いで従業員が不足しているという状況が明らかになりました。

その背景には、Amazonなどインターネット通販の増加により需要が高まっている一方で、運送業の業務の性質上、肉体的・時間的な負担が大きく、人材が集まりづらい事情があると考えられます。

今後もインターネット通販のさらなる増加や、シニア向け宅配サービスの普及、高齢化による労働人口の減少などにより、人手不足の傾向はさらに強まるとみられています。

雇用や長時間労働が問題に

不足する人材を補うため、運送業者は外部業者への委託や派遣労働などに頼らざるをえなく、複雑な雇用形態ゆえの法的なリスクが生じやすい状態です。

20017年3月に18歳から取得が可能な準中型免許が新設され、若手ドライバーの増加が期待されています。

しかし優秀な人材の取り合いは激しさを増すと考えられ、賃金をはじめ待遇を改善する機運が高まることも予想されることからも、運送業者の労務リスクは依然高いといえるでしょう。

また、年間の宅配便個数は2016年に40億個を超え、宅配便の2割程度が不在などで再配達に回っている現状から、セールスドライバーの長時間労働も大きな課題です。

残業代問題

運送業

運送業は、労働時間が長くなりやすいこと、労働時間の客観的な証拠が残りやすいこと、そして固定残業代制を採用している業者が多いことから、残業代に関するトラブルが発生しやすい業種です。

残業時間に関わらず一定の残業代を支払う「固定残業代制」は、場合によっては無効とされ、多額の未払い残業代の支払いを余儀なくされることがあります。

そのようなリスクを防ぐためには、雇用契約書や就業規則の規定を見直し、労働時間の管理体制の構築を進める必要があります。

運送委託契約書をめぐる問題

契約書

トラック運送業では、取引内容を書面化せず、口約束で取引が行われる慣行があるため、このようなトラブルがよく起こります。

このようなトラブルを防ぎ、会社を守るためには、契約を書面化することが有効です。

全日本トラック協会が策定した「自主行動計画」では、「荷待ち料金や高速道路料金などのルールを明確化する」、「契約書を原則100%書面化する」といった計画が立てられています。

書面化にあたって注意しなければならないのは、「単に紙に書けばよい」というわけではなく、運賃など重要事項を漏れがないように盛り込む必要があるという点です。

雇用問題

雇用契約書は絶対に取り交わさなければいけないものではなく、使用者から雇用条件を一方的に通知する「労働条件通知書」や「雇用通知書」のみでも法的には問題はありません。

しかし、運送業においてトラック運転手を雇うとき、契約書を作らないままでいると、後々トラブルにつながる危険性があります。


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