ご相談企業様について

業種

運送業

規模(従業員数)

11~50名

ご相談に至った経緯

元従業員から数百万円の残業代の支払いを請求され、労働審判で調停案が出されました。

会社は、残業代を含めて「配送ルート手当」という名目の手当てを支払っていましたが、事後的に、残業代が支払われていないなどとして労働者側から争われた形です。

裁判所が出した調停案は、「配送ルート手当には残業代も含まれるが、残業代の支払いと評価できるのは手当の8割に限る」というものでした。

この調停案に納得がいかず、弁護士から詳しく話を聞きたいということで、インターネットで労働審判に強い弁護士を探され、福岡県外から当事務所にご相談にお越しいただきました。

ご相談内容

「今後、労働審判の結果を不服として裁判に移行した場合、会社に有利な結果となる見込みがあるか」

弁護士からのアドバイス

労働審判とは

弁護士荻野

労働審判は、個別の労働紛争を迅速かつ柔軟に解決することを目的とし、原則、3回以内の期日で、調停又は審判での解決を目指す手続です。

労働審判で争われることが多いのが、解雇に関する紛争、そして今回のような残業代に関する紛争です。

固定残業代制を導入する際の注意点

残業代は、時間外・休日・深夜労働の実労働時間に1時間あたりの基礎賃金をかけ、そこに一定の割増率を乗じて算出するのが原則です。

法律上は、この計算方法で算出される残業代以上の金額を支払えば良いこととされているため、残業代に相当する一定額の手当を支給する制度(固定残業代制)を採用している企業も少なくありません。

固定残業代制を適法に行うためには、残業代部分と通常の賃金部分を明確に区別し、就業規則等においてその一定額の手当を残業代として支給するものだと明記することが重要になります。

これを怠ると、会社としては残業代を支払ったつもりでも、労働者側から残業代が支払われていないなどと争われ、最悪の場合は二重払いを強いられるおそれがあります

これが1人からの請求で済めば被害はまだ少ないですが、請求をしてきた人物が周囲に話を漏らしたり、同僚が話を聞きつけたりして、他の従業員からも雪崩式に請求を起こされた場合には、会社の存亡にかかわる事態になりかねません。

今回のご相談のポイント

今回の事案では就業規則の定め方に不十分な点があったものの、裁判所が出した調停案では、会社が支払っていた配送ルート手当に残業代が含まれるとされ、その割合も8割と比較的高い割合で認定されていて妥当な内容であること、仮に裁判に移行した場合には、残業代部分とされる割合が低くなる、遅延損害金等が付くなど、会社にとって不利な判決も予想されることを説明しました。

また、今後、同様のケースが起きないようにするために固定残業代制に関する就業規則の規定を修正し、労働問題に精通した弁護士に継続的な助言を受けられる体制を構築すべきであるとアドバイスいたしました。


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