秘密保持契約(NDA)の有効期間は何年とすべき?わかりやすく解説

秘密保持契約(NDA)の有効期間は何年とするべきか?

秘密保持契約

秘密保持契約はビジネスの現場で多く利用される契約で、弊所の弁護士にもよくご相談が寄せられています。

秘密保持契約でよく問題になるのが、有効期間、つまりその契約がいつまで効力を有するかに関する条項です。

この記事では、秘密保持契約の有効期間について解説します。

IT業者に役立つ資料の雛形配布中!

そもそも秘密保持契約(NDA)とは

秘密保持契約(NDA)とは、企業が保有する秘密情報(営業秘密や個人情報など)を他者(企業や個人)に開示する場合に、開示を受けた他者がその秘密情報を外部に漏らさないことを約束する契約をいいます。

例として、次のようなケースで利用されます。

  • 業務を外注するとき
  • 新商品を他者と共同開発するとき
  • ウェブサイトの制作を依頼するとき
  • M&Aを検討するとき
  • システム開発契約を締結するとき
  • 役員や従業員に営業秘密を扱わせるとき

秘密保持契約書に有効期間が規定される理由

秘密保持契約が締結されると、情報を開示された当事者は秘密情報を管理するための方策を講じる必要が生じます。

たとえば、

  • 秘密情報が保存された記録媒体の管理場所を特定して持出しが物理的に困難な状態にする
  • 秘密情報を取り扱う従業員へ研修を実施して秘密情報持出しのリスクを認識させる
  • 十分なセキュリティを有したシステムを導入して不正アクセスを防ぐ

といった方策です。

有効期間はなぜ必要?

このような方策には当然コストがかかりますので、このようなコストを長期間にわたって負わせることは、情報を開示された他者にとって酷となります。

また、情報の内容・性質によっては、時間が経つと陳腐化し、秘密として保持させる必要性がなくなる場合もあります。

そのため、秘密保持契約には一定の有効期間が設定されることがあります。

秘密保持契約の有効期間はどうやって決める?

考慮すべき事項

有効期間

では、秘密保持契約の有効期間を設定するときには何を考慮すればよいのでしょうか。

適切な有効期間が何年かは、対象となる情報の性質によって異なります

たとえば、まもなく製品の発表を予定していてその後は秘密保持の必要性がなくなるようなケースや、IT技術など情報が短期間で陳腐化すると予想されるようなケースでは、1年など短い有効期間が設定されます。

一方、顧客情報のように重要性が高い情報については、5年など比較的長めの有効期間を設定したり、有効期間を設けず永久に秘密を漏らさないという合意がなされることがあります。

秘密保持の対象となる情報がどの程度重要なものなのか、いつまで秘密を保持する必要性があるのか、秘密を保持するためにどの程度の負担がかかるのかなどを検討したうえで、必要があれば相手方に交渉を持ちかけるべきでしょう。

情報開示者側の場合

情報を開示する側の当事者は、有効期間をできるだけ長く設定するように交渉すべきです。

さらに、秘密情報が含まれた記録媒体の管理について契約に盛り込んでおくとよいでしょう。

必要がなくなったり有効期間が経過した後も情報受領者が記録媒体を保持し続けていると、情報が漏洩したり散逸してしまうリスクが高まるためです。

たとえば、情報開示者が求めたときには情報受領者はいつでも秘密情報が含まれた記録媒体等を返還しなければならない、あるいはデータを消去しなければならないという条項を設けておくことが考えられます。

情報受領者側の場合

情報を受領する側の当事者は、まず、提示された契約書に有効期間に関する条項があることを必ず確認しましょう。

長期間の有効期間が設定されている場合には、管理コストと万が一情報が漏洩した場合のリスクを考慮し、なるべく短くするように契約の相手方と交渉すべきです。

また、契約の終了後に一部の条項の契約条項を存続させるための条項(「残存条項」といいます。)が設けられている場合もあります。

契約が終了した後も秘密保持義務や損害賠償義務が一定期間存続すると規定されている場合もありますので、契約書全体をよくチェックしておきましょう。

IT業者に役立つ資料の雛形配布中!

最後に

弁護士荻野

秘密保持契約書は、ビジネスにおいて非常に頻繁に使われる契約書です。

そして、情報の漏洩や記録媒体の返還を巡ってトラブルに発展するおそれが大きいのも秘密保持契約の特徴です。

トラブルに発展する前に契約書の内容を精査しておくことが必要となります。

NDA契約書を提示されたら必ず有効期限を確認し、些細なことでも疑問を感じたら弁護士にご相談ください

また、NDA契約書を作成するときには有効期限に限らず各条項の内容を慎重に検討する必要があります。

トラブルを事前に避けるために、弁護士にご相談されることをお勧めします

  • 荻野哲也弁護士
  • この記事を書いた弁護士

    荻野 哲也(おぎの てつや)
    たくみ法律事務所 福岡オフィス所属
    福岡県朝倉市出身。久留米大学附設中学・高校、早稲田大学、同法科大学院を経て、司法試験に合格。学生時代にプログラミングを趣味にしており、IT企業のご支援、システム開発を巡る紛争の解決、システム開発業務委託契約書の作成・チェックに特に注力。広告法務(薬機法・景表法等)、個人情報保護法関連も得意としている。
IT業の法律問題はお任せください

契約書の問題を弁護士に相談するメリット

セカンド顧問について

お問い合わせはこちら

企業側・使用者側専門の弁護士にお任せ下さい新規予約専用ダイヤル24時間受付中!メールでの相談予約


  • Facebook
  • Hatena
  • twitter
  • Google+

費用


セカンド顧問

契約書の問題を弁護士に相談するメリット

  • facebook
PAGETOP
お問い合わせ