売買契約書で注意すべき所有権と危険負担の移転時期

売買契約書で注意するべき所有権と危険負担の移転時期

はじめに

契約書

売買契約書を作成するときに問題となるのは、所有権と危険負担の移転時期をいつにするかという点です。

所有権や危険負担の移転時期に関する規定は、確実に代金の支払いや商品の引き渡しを受けたり、万が一商品が滅失してしまったときに損害を最小限に抑えるために重要になります。

この記事では、売買契約書を作成するときに注意するべき所有権と危険負担の移転時期について解説します。

所有権の移転時期

民法の原則

所有権とは、物品や不動産などを、自分の物として自由に使用、収益、処分をする権利をいいます。

民法には、所有権を含む物権の設定や移転は、「当事者の意思表示のみによって」行うことができると規定されています。

自動車の売買であれば、当事者が「この自動車を100万円で売ります」「その自動車を100万円で買います」とお互いに意思を表示するだけで、売主から買主に所有権が移転するのが原則です。

契約成立と同時に所有権が移転する?

ところが、契約時に所有権が移転すると考えると、売主にとっては著しく不利益になります

たとえば、ある商品を目的物とする売買契約が成立し、買主に所有権が移転したとするとは、買主はその商品を自分のものとして使用したり、加工して転売することができます。

その後、買主が支払いを拒絶したり、倒産してしまった場合は、所有権を失った売主は商品を取り戻すことができません。

このように、所有権の移転時期は売主にとっては遅い方が都合がよく、買主にとっては早い方がよいということになります。

実務上の扱い

そこで、契約書を作成するときには所有権の移転時期をずらすことにより当事者間の利益調整を行うことが必要になってきます。

たとえば、所有権の移転時期を代金の支払いが完了した時としたり、納品が完了した時にすることが考えられます。

売買契約書を作成するときには、なるべく自社にとって有利な契約書の条項を盛り込み、契約の相手方に提示するようにしましょう。

危険負担の移転時期

危険負担とは

危険負担の移転

売買契約が成立すると、売主は物を引き渡す義務を負い、買主は代金を支払う義務を負っています。

ところが、もし引き渡しの前に天災などにより物が失くなってしまうと、売主は物を引き渡す義務を履行することができなくなります。

その場合は、買主は依然として代金を支払わなければいけないのか、あるいは代金の支払い義務は消滅するのかが問題となります。

危険負担とは、売買契約締結後、物が何らかの理由で失くなってしまった場合に、当事者のどちらが責任を負担するかという問題です。

危険負担の移転時期による違い

売主が責任を負担する場合には、買主の支払い義務が無くなり、買主が責任を負担する場合には、支払い義務が残ることになります。

したがって、売主にとっては、責任が早く買主に移転した方が有利になります。

他方、買主にとっては、できるだけ長く責任が売主にとどまり、物が失くなってしまった場合は代金の支払いをしない方が有利といえます。

このように、責任がいつ移転するかという危険負担の問題は、万が一の事態が発生したときには売買の当事者にとって非常に重要な問題となります。

実務上の扱い

危険負担の移転時期は民法に規定がありますが、この規定は強行規定ではありませんので、当事者の合意によって別の定めをすることができます

たとえば、売買契約書に「目的物の危険負担は、引渡しが完了した時に、売主から買主に移転する」「目的物の危険負担は、商品の検査が完了した時に、売主から買主に移転する」といった特約を盛り込み、危険負担の時期を設定します。

危険負担の移転時期は売主にとっては早い方が都合がよく、買主にとっては遅い方がよいということになりますので、所有権の移転時期と同様、自社になるべく有利なように契約書を作成することが重要です。

さいごに

弁護士壹岐晋大

このように、所有権や危険負担の移転の時期によって、いざというときに当事者のどちらが負担を負うかが決まってきます。

所有権や危険負担の移転時期は、取引がスムーズに進んでいる間は問題にはなりません。

しかし、いざトラブルが発生したときには不測の損害が発生する原因となりかねません

そのようなリスクを理解せず、契約書のひな形をそのまま流用したり、契約の相手方から提示された契約書を精査することなくサインするのは大変危険です。

売買契約書を作成するときの所有権や危険負担の移転時期をどのように設定するべきかは個別の契約によって異なりますので、専門家である弁護士にご相談することをお勧めいたします

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