はじめに

交通事故の発生件数が全国でも多いと言われている福岡県ですが、その中でもとくに気になるのが「自転車乗用中」の事故です。
自転車は通勤・通学・買い物など日常生活に密着した乗り物で、車と比べると軽く思われがちですが、事故に遭うと大きなけがにつながるケースも少なくありません。
福岡県警が公表している資料令和6年9月19日付 交通事故の発生状況について 、
令和7年11月 自転車関連事故の交通事故分析 には、
自転車乗用中の交通事故のうち、約2割前後が「法令違反あり」となっており、さらに令和5年中の自転車乗用中の死者数については、6~7割程度に「法令違反あり」が見られることから、「法令違反あり」がより死亡事故につながるリスクがあるといえます。
また、自転車事故の曜日・時間帯別発生件数をみると、土日よりも平日の件数が多く、午前8時~午前10時、午後4時~午後6時が多く、合わせて全体の約4割を占めており、通学・通勤時間帯に多く発生していることが分かります。
この記事では、福岡における自転車事故についての特徴をみながら、通勤時間帯に多い自転車事故に着目し、企業の視点で「通勤の安全」や「労務リスク」という観点で、どのような対策が考えられるのかをお伝えします。
福岡の自転車事故の傾向:法令違反が増加している?
福岡県警の統計(前述)によると、自転車乗用中の交通事故で「法令違反あり」とされる割合は増加しています。
この「法令違反」とは、
- 信号無視
- 一時停止無視
- 右側通行(左側通行を守らない)
などが代表的です。
電動アシスト自転車の普及により、スピードが出やすくなったことも、事故の重大化を招く要因と言われています。
福岡は自転車利用が多い地域?地形・生活動線も関係
福岡市はコンパクトシティと言われるほど、街の規模の割に移動距離が短く、平坦な道が多いため、自転車での移動が比較的しやすい地域です。
天神・博多周辺では駐輪場も多く、学生や社会人の自転車利用率が高めです。
加えて、
- 通勤時間帯の交通量が多い
- 住宅地と商業地が近い
- 狭い道や見通しの悪い道路も多い
といった要素が重なることで、自転車事故が起きやすい環境が整ってしまっている側面もあります。
企業の従業員の中には、「車だと渋滞するので自転車で通勤する」という人も少なくありません。
そのため、自転車事故を防ぐことは、従業員の安全を守るだけでなく、労務管理の観点でも見逃せない話題です。
企業として「自転車通勤」の安全管理は重要なテーマ
では、企業として自転車事故にどんなリスクがあるのでしょうか。
1. 通勤災害のリスク
従業員が通勤途中に自転車で事故に遭った場合、状況によっては労災(通勤災害)となります。
会社として直接の賠償責任はなくても、
- 長期休業
- 代替人員の確保
- 人件費の増加
- 労務トラブル
など、実務的な負担が発生します。
2. 企業イメージの影響
自転車で加害事故を起こした場合、SNS時代では個人の問題では済まないケースも少なくありません。
特に営業車や制服着用の従業員が事故を起こせば、企業名が出ることもあります。
今日からできる!企業が取り入れやすい自転車事故対策
1. 通勤ルールの明文化
- 交通ルールの遵守
- イヤホン禁止
- 夜間のライト使用義務
- スマホ片手運転禁止
などの基本ルールを共有しておくだけでも効果があります。
2. ヘルメット着用の推奨
努力義務化に伴い、福岡でもヘルメット着用が増えてきました。
企業として「推奨」しておくことで従業員の意識も変わります。
3. 自転車保険への加入を案内
加害事故では、数百万〜数千万円の賠償が発生することもあります。
自転車保険への「加入を推奨する」だけでも予防になります。
なお、福岡県内では、条例で自転車保険への加入が義務化されています。
参考:福岡県庁自転車保険(自転車損害賠償保険等)に加入しましょう
自転車通勤をしている従業員や、とりわけ他県から転勤をした従業員などに対して、保険加入の案内をすることも重要です。
4. 通勤ルートの見直し案内
「危険な交差点」「狭い道」「交通量の多い道路」を避けるだけで事故リスクが下がります。
まとめ

自転車は身近で便利な乗り物ですが、油断すると大きな事故につながります。
福岡では自転車利用者が多いこともあり、通勤中の自転車事故は企業が意識しておくべきテーマでしょう。
基本ルールの周知、ヘルメットや自転車保険の案内など、今日からできる小さな取り組みだけでも事故防止に大きく役立ちます。
当事務所には労務問題に詳しい弁護士だけではなく、交通事故を専門的に扱っている弁護士も所属しています。
従業員の交通事故防止や、万一交通事故に巻き込まれた場合など、お困りの際は、ぜひ当事務所にお問い合わせください。
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