荻野弁護士

IT業界は、厳格な納期・急な仕様変更・想定できないバグ・不具合の発生などによって、長時間労働になるケースが見られます

また、昨今ではリモートワークやフレックスタイム制の導入が進み、労働時間が曖昧になりがちです。

そのため、残業代の未払い問題情報漏洩リスクといった労務問題が発生しやすい業界でもあります。

加えて、その業務の性質上、ITエンジニアにはメンタルヘルス問題や過重労働が顕在化しやすく、これらが労務トラブルに発展するリスクもあります。

特に中小のIT企業ではリソースが限られているため、労務トラブルが経営者の負担となり、場合によっては会社の存続に影響を及ぼすこともあります。

こうしたリスクを回避し、健全な労務管理体制を整えることは、企業にとって非常に重要です

そのため、未払い残業や労災といった問題を防ぐ一助として、就業規則を整備することが不可欠です。

本コラムでは、IT企業に特有の労務リスクを最小限に抑えるために、就業規則をどのように整備すべきかを具体的に解説します。

未払い残業リスクの回避

IT企業では、従業員が長時間労働に陥りやすく、残業代に関するトラブルが発生しがちです。

未払い残業の請求を回避するには、就業規則で労働時間のルールを明確にし、適切に労働時間を管理することが重要となります。

例えば、残業を行う際には上長の許可を義務付ける「残業許可制」を導入することで、無駄な残業や過度な時間外労働を防ぐことができます。

また、正確な残業時間の記録を導入することも必要です。

特にリモートワークを行っている企業では労働時間が不透明になりやすいため、PCのログを活用した勤怠管理などの対策が求められます。

フレックスタイム制の適正運用

IT企業の多くではフレックスタイム制が導入されていますが、これを適切に運用しなければ、残業代に関するトラブルが発生する可能性があります。

フレックスタイム制を導入する際は、労働基準法に基づいて清算期間を設定することが重要です。

清算期間とは、フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間を決める期間のことです。

例えば、清算期間を1か月とした場合、1か月の総労働時間を超えた分には割増賃金を支払う必要があります。

また、1か月以上の清算期間を設定する場合は、労基署への届け出が必要です。

さらに、フレックスタイム制では、従業員の労働時間を客観的に把握できる管理方法も整備する必要があります。

リモートワークと同様に、自己申告だけでなく、タイムカード・入退館のログ・業務システムへのアクセスログなどを通じて、客観的な管理が求められます

労災リスクへの備え

長時間労働が常態化しやすいIT企業では、過重労働による心身の不調に対するリスク管理も欠かせません。

特に、メンタルヘルス不調による休職や労災申請が増加しています

これらのリスクを回避するには、就業規則で健康診断やストレスチェック、休職制度に関する規定を見直し、特別休暇や福利厚生の拡充など、従業員が健康的に働ける環境づくりを進めることが必要です。

また、リモートワークにおいては従業員の作業環境を把握しづらいため、適切な作業環境を確保するためのルール作りも重要です。

最後に

お任せください

適切な労務管理を行いリスクを回避するためには、法改正や最新の裁判例にも注意を払いながら、就業規則を随時見直す必要があります。

労務問題に精通した弁護士に相談することで、就業規則の改訂やトラブル発生時に迅速かつ適切な対応が可能です。

さらに、顧問弁護士を活用すれば、日常的な労務管理やトラブルの予防にもつながります

労務管理でお困りのIT企業様は、ぜひ、たくみ法律事務所の弁護士にご相談ください

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