はじめに

クリニック

医療機関において生じる法的問題は、一般的な営利企業とは趣が異なります。

それは、医師や薬剤師など医療職に固有の義務や、患者さまやご家族に対する強い配慮から生じることが多いためです。

たとえば、クリニック・病院などの医療機関に特有の法的問題として、次のようなものが挙げられます

  • 問題社員対応
  • ハラスメント(パワハラ・セクハラなど)
  • 労務トラブル(労働時間・時間外手当・シフト管理など)
  • 口コミトラブル(Caloo・Googleマップ等のインターネット上のクチコミ)
  • クレーム対応
  • 未払い治療費
  • 医療法人トラブル(理事間の対立・ガバナンス・持分払戻し・業法など)
  • 個人情報保護(カルテ開示・守秘義務・情報漏えい対応など)

以下では、医療現場で特にご相談の多いテーマを簡単にご紹介します。

医療現場で当法律事務所にご相談の多いテーマ

問題社員対応・ハラスメント・労務トラブル

ハラスメント

医療機関では、医師・看護師・コメディカル・事務スタッフなど、さまざまな職種が連携して業務を行っています。

そのため、勤務態度の悪い職員や独自のルールで動いてしまう職員がいると、現場全体の雰囲気や医療安全にも影響を及ぼしかねません。

また、上司からのパワハラ・セクハラ、同僚間の人間関係トラブル、残業代やシフトをめぐる紛争など、労務トラブルが表面化すると、退職・労基署対応・訴訟リスクなど、経営側にとって大きな負担となります。

  • 就業規則や各種院内規程の整備・見直し
  • 問題社員への注意指導・人事措置の検討
  • ハラスメント相談窓口や調査の進め方
  • 労基署対応・訴訟への対応

といった点について、弁護士が事前の仕組みづくりから個別事案の対応まで、継続的にサポートすることが有効です。

口コミトラブル

口コミ

インターネット上の口コミサイトやGoogleマップに掲載された悪質なクチコミは、医療機関の評判や新規患者の集患に大きな影響を与えます。

当事務所では、クチコミの削除請求や投稿者の特定(発信者情報開示請求)など、口コミトラブルへの対応について多数のご相談をいただいています。

詳しくは、以下の個別記事もあわせてご覧ください。

クレーム対応

苦情

医療機関側に明らかな落ち度がないにもかかわらず、執拗なクレームや過度な要求を繰り返す患者さま・ご家族への対応が課題となっています。

一方で、説明不足やコミュニケーションの行き違いなど、医療機関側が一定の責任を負うべきクレームも存在します。

  • 医療機関側に責任があるクレームには、誠実な説明と必要な補償を行うこと
  • 医療機関側に責任が認められない場合には、事なかれ主義に陥らず、組織として方針を定め毅然と対応すること

の両方が重要です。

そのためには、クレーム対応マニュアルやフローの整備が不可欠です。

当事務所では、マニュアル策定や職員研修、個別クレームへの助言・同席などを通じて、現場の負担軽減とトラブルの再発防止をお手伝いします。

未払い治療費

督促状

医療機関には応召義務があります。

そのため、医療機関は診察を断れない一方で、未払いの治療費が蓄積しやすく、多くの医療機関を悩ませる問題となっています。

未払い治療費を放置すると、医療機関のキャッシュフローを圧迫し、設備投資や人員配置にも影響が出かねません。

当事務所では、書式の整備や督促スキームの構築、個別案件への対応方針の検討などをサポートし、医療機関の経営への影響をできる限り抑えられるようお手伝いします。

医療法人トラブル(理事間の対立・ガバナンス・業法など)

医療法人では、理事長・理事・社員(出資持分のある医療法人の場合)の関係や、承継・分割・解散などをめぐり、内部紛争が生じることがあります。

よく見られる例として、次のようなものがあります。

  • 理事同士の対立により、重要事項の決定が進まない
  • 後継者問題をめぐって、親族間で意見が対立している
  • 医療法その他の関係法令への適合性(兼業・経営参画の範囲など)に不安がある

こうした紛争は、放置すると診療体制や職員の離職、金融機関との関係、行政対応などに波及し、法人全体の存続にも影響を与えかねません。

個人情報保護(カルテ開示・守秘義務・情報漏えい対応など)

医療機関では、カルテ・看護記録・検査結果・画像データなど、大量かつ機微性の高い個人情報を日常的に取り扱っています。

その取り扱いを誤ると、患者さまとの信頼関係の毀損だけでなく、個人情報保護法に基づく重大な責任を問われるおそれもあります。

たとえば、次のような場面が典型例です。

  • 成人の患者さまのご家族からカルテ開示を求められた場合、どこまで開示すべきか、同意はどのように取得すべきか
  • 明らかに薬物中毒と思われる患者さまが受診した場合、守秘義務との関係で警察への通報が許されるのか
  • 誤送信・紛失・サイバー攻撃などにより個人情報が漏えいした場合、どのような手順で調査・報告・再発防止策を講じるべきか

当事務所では、法令やガイドラインを踏まえた体制整備から、具体的な事案発生時の助言まで、継続的にサポートいたします。

弁護士にご相談ください

弁護士荻野哲也

現実的に生じた法的問題を放置することは、医療機関の評判・経営を悪化させることになりかねません。

そのような問題が顕在化する前に、就業規則や各種規程・契約書の整備など、予防策を講じておくことが重要です。

このため、法律のプロである弁護士が関与し、クリニック・医療機関・病院の皆様に継続的な法的サポートを行うことに大きな意義があると私たちは考えています。

クリニック・医療機関・病院の皆様は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

みなさまのご不安を解消し、安心して診療に専念していただけるようサポートいたします。

  • 荻野哲也弁護士
  • この記事を書いた弁護士

    荻野 哲也(おぎの てつや)
    たくみ法律事務所 福岡オフィス所属
    福岡県朝倉市出身。久留米大学附設中学・高校、早稲田大学、同法科大学院を経て、司法試験に合格。学生時代にプログラミングを趣味にしており、IT企業のご支援、システム開発を巡る紛争の解決、システム開発業務委託契約書の作成・チェックに特に注力。広告法務(薬機法・景表法等)、個人情報保護法関連も得意としている。

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