運送業

2017年8月、鳴門市で高校生が乗っていたバスと大型トラックが衝突し、高校生ら16名が死傷する事故が発生しました。

原因は大型トラックのドライバーの居眠り運転でした。

居眠り運転に起因するこのような事故を抑止するため、バス、タクシー、トラック事業者に適用される「旅客自動車運送事業運輸規則」および「貨物自動車運送事業輸送安全規則」が改正され、平成30年6月1日に施行されました。

この改正により、事業者は睡眠不足のドライバーを乗務させてはならないとされたほか、点呼時にドライバーに報告を求めて睡眠不足の状態にないことを確認し、確認をしたことの記録を点呼簿に記載することが義務付けられました。

睡眠不足を招く長時間労働の是正を

長時間労働の是正

今回の改正はバス、タクシー、トラック事業者を対象としたものですが、睡眠不足での乗務の問題はほかの業種の事業者にとっても他人事ではありません

たとえば、労働者に営業車などを運転させている場合です。

長時間労働により労働者が十分に睡眠をとることができず、そのことを会社が認識できたにもかかわらず適切な措置を怠り、居眠り運転による交通事故が発生すれば、会社の安全配慮義務違反が認定され、多額の賠責任を負う可能性が高いと考えられます。

運転業務に従事させていなければ全くリスクがないかというと、そうではありません。

昨年2月、深夜勤務後の帰宅中にバイク事故で亡くなった会社員の遺族が会社に損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁川崎支部は、事故の原因は居眠りだったとし、会社は公共交通機関を使うよう指示するなどして事故を避けるべきだったと指摘しました。

このように、睡眠不足での乗務に対しては社会の厳しい目が向けられつつあります。

使用者としては、労働者が睡眠不足のときには車を運転させないよう最大限の注意を払うことはもちろん、長時間労働の是正や睡眠時間の管理に取り組むべきでしょう。


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