リテンションとは?

面談

「従業員の離職率が高い。」

「高業績の従業員がライバル企業にとられてしまう。」

そんな悩みを抱える経営者は多いと思います。

従業員が離職してしまうと、会社には大きな損害が発生します。

新たな社員を雇用して教育するコストがかかりますし、営業部員であれば売上低下に直結する可能性もあるでしょう。

長年勤めて暗黙知となっている会社のルールを知っている人物が減るというのも長期的には損害です。

また、新たな人材を採用しようと思っても、人材不足が叫ばれている昨今の状況では採用も簡単ではありません。

そこで、企業において「リテンション」の重要性が高まっています。

リテンションの必要性が高まっています

リテンションとは、人材の維持、確保のための施策を意味する用語です。

最近は転職を煽る広告も多く、転職市場は活発になっており、会社として従業員を退職から防ぐリテンションをしていく必要性が高まっています。

上司と部下の関係が良好なら辞めない?

企業が「リテンション・マネジメント」を独自の施策として行なうことは、通常はありません。

企業に求められる「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の管理のうち「ヒト」の管理(人的資源管理)についての施策を行う際、その最終的な目的、結果としてリテンションが求められるのです。

では、リテンションに影響を与えるのはどのようなことでしょうか

少し古いデータにはなりますが、

  • 個人の業績
  • 適正な配置
  • ワークライフバランスの重視
  • 上司と部下の関係(コミュニケーション)
  • 職務内容の満足
  • 福利厚生制度
  • 成果主義的制度

等について、リテンションに対する影響(上記の事情がどの程度リテンションに寄与するか)を調査した研究があります(山本寛著「人材定着のマネジメント―経営組織のリテンション研究―」中央経済社、2009年)。

その中でおもしろいデータをいくつか紹介します。

①個人の業績

個々人の業績は退職についてどのような影響を与えるのでしょうか。

データでは、高業績者については、専門性が高ければ高いほど退職意思が高まってしまい、リテンションにとってマイナスの効果を与えるとのことです。

専門性が高いということは、組織に対する帰属意識が生まれにくいことなどから、高業績者は特にリテンションの重要性が高まることは想像できるところかと思います(※専門職のマネジメントについてはこちら)。

一方、低業績者に関しては専門性が高いほど退職意思が低いという結果が出ています。

②適正配置

会社として従業員の適正な配置、異動などはリテンションに影響を与えるのでしょうか。

意外な結果ですが、調査の結果では、従業員の適正配置はリテンションの効果は乏しいとされています。

ただ、ここでいう適正配置は従業員の意向どおりの配置ではなく組織が決定する適正配置であり、従業員自身が適正があると考えた部署に異動できる従業員参加型の場合にはリテンションの効果はあると考えられます。

③上司と部下の関係(コミュニケーション)

上司と部下のコミュニケーションの質が高いこと自体は、想像どおり、リテンションに効果があるという結果が出ました。

しかし一方で、非正規社員に対してはあまりリテンションの効果が出ないという結果も出ています。

非正規社員については、上司とのコミュニケーションなどより、ワークライフバランスについての施策や雇用保障などがリテンションに効果があるとされています。

もっとも、非正規社員中心の職場環境においては、非正規社員の役割も通常の企業とは異なってくるため、上司と部下のコミュニケーションの質が高いことはリテンションに影響するといえるでしょう。

法律的な対応は?

では、退職の申し出があった従業員に対して、法律的な対応としてはどのようなものが考えられるでしょうか

従業員から退職の申し出があった場合、原則としては2週間が経過することで労働契約は終了します。

これは就業規則や労働契約書でそれ以上前に申し出が必要としていたとしても同様です。

※2020年4月の民法改正前までは、年棒制等の場合に異なる扱いとなりますので、ご注意ください。

そこで、ライバル企業への転職を阻止するために、就業規則に競業避止義務などを定めたり、入社時に競業避止の誓約書を取り付けることなどもあります。

もっとも、競業避止義務の有効性には限界がありますので、有効性についてはご相談ください(※競業避止義務についてはこちら)。

個別の対応で間に合う?

会社の実情に合った対策を

弁護士壹岐晋大

リテンションに対する影響について概要を説明いたしました。

少人数の企業においては、全体でのリテンションの施策というよりは、個別の退職希望者に対するマネジメントが必要になる場面も多いかと思われます。

もっとも、転職を決意したあとに、転職を撤回させるのは至難の業であり、安易な条件交渉は悪しき前例になるなど他の従業員との関係でも望ましくないケースも多いです。

そのため、ほとんどの経営者が行っていると思われますが、従業員が退職を申し出てから慌てて対応するのではなく、人的資源管理上の施策をもって、帰属意識やモチベーション管理をすることが重要です。

各企業にあった施策を検討する際には、この記事でご紹介したリテンションの調査結果も参考にしていただければと思います。

転職市場の実情

先日、日本経済新聞で、日本では「転職で年収が増えた」という人が周辺の国や地域に比べて低いというデータが出ていました(収入が上がったと答えた割合が43.2%)。

今後改善していかないといけない社会的な課題だと思われますが、会社としてはこのような状況も知っておくべきでしょう。

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