悩み

ビジネスにおいて契約書は不可欠です。

中小企業の中には契約書を自社で作成しておられる企業も多いと思いますが、実は契約書には大小様々なルールがあることをご存知でしょうか。

法律用語の解釈として厳格に決められている場合もあれば、慣習として使い方が決まっている場合もありますが、いずれの場合であってもルールに従った文書を作成しないと思わぬ形で会社が不利益を被るおそれがあります。

今回は契約書や社内規程を作成するときに必要な基礎知識をいくつかピックアップしてご紹介します。

契約書のタイトル

まずは契約書のタイトルについて考えてみましょう。

契約当事者間で取り交わされる文書には、「契約書」のほかに、「覚書」「協議書」「協定書」「合意書」「約定書」など様々なタイトルが使用されます。

「○○○○契約書」という仰々しいタイトルが付いた書面より「覚書」の方がなんとなく効力が弱そうだ、と感じられるかもしれませんが、文書のタイトルに関わらず、契約当事者間で意思の合致があり、契約の存否や内容を証明するために作成された文書であれば契約書としての効力を有しますし、タイトルによって効力が強くなったり弱くなったりということもありません。

とはいえ、もちろんタイトルの使い分けにも一定のルールがあります。

「契約書」「覚書」「協議書」「協定書」「約定書」「合意書」等のタイトルは複数当事者の合意を表すものに使用されます。

これに対して、「証書」「念書」「誓約書」などのタイトルは一方当事者が他方に差し入れる文書に使用されます。

たとえば、雇用契約は労働者が労務を提供することに対して会社が賃金を支払うことを合意するものです。

つまり、両当事者に権利義務が生じる契約ですので、双方の合意を示す書面として「雇用契約書」が交わされます。

一方で従業員と秘密保持に関する取り決めを交わす際には、従業員が会社に対して情報を流出させないことを約束すれば足りますので、秘密保持に関する「誓約書」が一般的に使用されます

「従業員」と「社員」

従業員とは、雇用契約等に基づき会社の業務に従事する者をいいます。

従業員を指し示す一般的な用語として「社員」があります。

しかし法律用語としての「社員」は社団の構成員を指す言葉で、株式会社の「社員」と言えば株主を指します。

混乱を避けるため、契約書や社内規程などで「従業員」を指し示すときに「社員」という言葉を使うことは避けた方がよいでしょう。

「規程」と「規定」

読み方が同じなのでしばしば混同され、専門家もうっかり変換ミスをしてしまいがちな用語です。

「規程」とは一定の目的のために定められた一定のルールの総体を指す用語です。

これに対して、「規定」は契約書や規程の中に定められた個々の条項の定めのことをいいます。

つまり「規定」を集めたものが「規程」です。

「賃金キテイ」は賃金・給与に関する取り決めをまとめたものですので「規程」ですが、その中にある通勤手当に関するキテイは「規定」ということになります。

「署名」と「記名」

「署名」とは、文書の作成者が自分の氏名を記載することをいいます。

「自署」「サイン」と同じ意味です。

これに対して、「記名」は単に文書作成者の氏名を書類に記すことをいいますので、必ずしも自筆である必要はなく、印刷、ゴム印でも構いませんし、他人が代筆しても差し支えありません。

法律上は「署名」があればその文書が本人の意思に基づいて作成されたことを立証することができます。

これに対して、「記名」は単体では法的効力を持たず、「押印」があって初めて本人の意思が推定されます

したがって、押印がなくても署名さえあれば作成者本人が作成したという法律上の推定は働きますが、慣例上、署名をした場合でも押印も求められるのが一般的です。

「印鑑」と「印章」

「印鑑」とは、判子を捺したときの印影のことをいいます。

これに対して、「印章」とは判子本体を指します。

したがって「ご印鑑をお持ちください」という言い方は厳密にいえば正確ではありませんが、慣例としては印章のことを「印鑑」と呼ぶことも多いので、この点はあまり神経質になる必要はないかもしれません。

最後に

今回は契約書や社内規程を作成するときに必要となる基本的な知識を解説いたしました。

中には「こんな細かいことを気にしていられない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、取引先に提示した書面で法律用語が正しい使い方をされていなければ、取引先に「この担当者は法律の知識が乏しいな」「弁護士が関与していない会社に違いない」と思われて足元を見られる可能性がありますし、何よりもいざ裁判になったときにはこれらのルールに従って厳格に文言の解釈が行われますので、やはり正確な用語の使い方をしておきたいものです。

用語の使い方で迷ったときには弊所の弁護士にご相談いただければお答えしますので、是非お気軽にご相談ください。

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