来客の接種状況を確認することに問題はありますか?たとえば、来客が来店した際にワクチン接種の証明書を求めたり、ワクチン接種を受けていない方の入店をお断りすることは可能でしょうか?

弁護士吉原

ワクチン接種の証明書を求めること自体は可能だと思いますが、入店を断ることができるかは微妙です。

たしかに、店舗の運営者には店舗内のルールを決める権利があります。

これは営業の自由、経済活動の自由と呼ばれる憲法上の権利に基づいています。

したがって、問題行動を繰り返す顧客を入店禁止にする、いわゆる「出禁」も基本的に違法とはなりません。

しかし、差別を受けない権利は店舗の経営者の営業の自由や経済活動の自由よりも優先され、合理的な理由がないにもかかわらず入店を拒否することは違法となり、民法上の不法行為に該当する可能性があります

たとえば、外国人であることを理由として入店を拒否することがこれに当たります。

国籍や人種など、本人の努力ではどうにもできないことを理由に取り扱いに差を設けることに合理的な理由はないからです。

店舗に来店するお客さんにワクチン接種の証明を求めることが可能かという問題は少々微妙ですが、任意での提示を求めることは問題ないと思われるものの、入店拒否までできるかというとかなり難しくなると思います。

入店拒否には、「従業員の安全と健康を守る」あるいは「店舗内での感染の拡大を防ぐ」という合理的な理由もありますが、それ以上に、ワクチン接種を受けるかどうかは自己決定権に関わることだからです。

もっとも、接種証明書の活用方針として民間が提供するサービスで店舗や会場の入場時に提示を求めることを可能とする案が検討されているようですので、今後の政府の方針に注目する必要があるでしょう。

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