連載第1回では、景品表示法についての基本的な広告規制である優良誤認表示、有利誤認表示、そして、著作権、肖像権・パブリシティ権など、景品表示法以外の広告規制について紹介しました。

今回は、インターネット広告に関連する法規制を紹介します。

インターネット広告の現状

2019年にはインターネット広告費がテレビ広告費を抜いたというニュースがありましたが、インターネット広告費は急速に拡大を続けています。

また、インターネット広告費のビデオ(動画)広告の構成比が増えていたりなど、インターネット広告も様々な種類があります。

2021年4月末に、ネット広告の情報開示義務化の政府方針が決定されたとのニュースを見た方も多いのではないでしょうか。

この情報開示については、巨大IT企業に対しての規制ですが、インターネット広告においては、規制が追いついていない分野でもあるので、継続的にフォローしていく必要があります。

インターネット広告の法規制

まず原則として、インターネット広告などにおいても、景品表示法など広告規制に関する法律が適用されます。

また、インターネット広告に関する特別な規制として、消費者取引においてトラブルが生じやすい5類型については、広告ガイドラインが定められています。

その5類型とは以下のものです。

  • フリーミアム
  • クチコミサイト
  • フラッシュマーケティング
  • アフィリエイトプログラム
  • ドロップシッピング

5つの類型

フリーミアムとは、サービスを無料で提供し、負荷的なサービスを有料で提供する仕組みで、よく無料アプリなどで一定のサービスから有料になるものなどがこれに当たります。

クチコミサイトは、いわゆるクチコミ情報を掲載するサイトで、これは馴染みがあると思います。

フラッシュマーケティングとは、いわゆるクーポンサイトなどで、一定数量の期間限定クーポンを発行するなどの取引です。

ドロップシッピングとは、インターネット上の通販サイトで、運営者が在庫をもたず、メーカーなどが在庫管理、配送を行う取引です。

なお、このガイドラインが出たのは2011年でので少々古いものです。

これら5つの中で近年特に注目されているのは、アフィリエイトです。

アフィリエイトとは、ブログ等の運営者が、他社が供給する商品等のバナー広告を掲載し、このサイトのバナーを踏んで購入された場合、広告主から成功報酬が支払われる仕組みです。

2020年末に、消費者庁がネット広告アフィリエイトへの大規模な実態調査に乗り出しました。

また、その後もアフィリエイトサイト自体に対する景表違反に基づく行政処分が行われるなど、規制が強化されています。

これまでもアフィリエイト広告は、消費者庁などで将来の検討課題とされていましたが、ようやく実態調査を含め動き出した状況です。

近年の話題

近年の話題としては、通信販売を規制する特定商取引法の改正案が先日閣議決定されています。

主な改正点として、定期購入契約についての法規制が強化されます。

定期的に商品が届くいわゆる定期購入契約であるにも関わらず、そうでないように誤解させて購入させるというトラブルが多く発生していることから、通信販売業者に定期購入契約の際の法規制が強化されました

このように、インターネット広告規制に関する規制や通信販売に関する規制関係は近年いくつかの動きがあるので、継続して注視していく必要があります。

  • 小林由佳弁護士
  • この記事を書いた弁護士

    小林 由佳(こばやし ゆか)
    たくみ法律事務所 福岡オフィス所属
    長崎県長崎市出身。日本大学法学部、九州大学法科大学院を経て司法試験に合格。熊本での司法修習を経て弁護士登録。注力分野は労務問題(不当解雇、未払い残業代請求、問題社員対応等)、不動産問題、広告法務、各種契約書チェック。

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