弁護士吉原

2020年は様々な法改正が施行されましたが、法改正への対応より新型コロナウイルスに関わる対応に追われた事業者の方も多かったのではないでしょうか。

収束の見通しが立たず今後も対応が求められる新型コロナウイルスについては引き続き情報提供を行っていきたいと思いますが、2021年に施行される法改正について最低限は確認しておくべきでしょう。

同一労働同一賃金規制(中小企業:4月1日施行)

働き方改革関連法は、労働問題に関する様々な法律の改正に関する法律で、その多くは施行されていますが、一部いまだ施行されていないものがあります。

その中の一つが「同一労働同一賃金」について定めたパートタイム労働法・労働契約法改正で、2021年4月1日から施行されます(なお、大企業は2020年4月1日に施行済みです)。

同一労働同一賃金規制は、正社員と非正規社員との不合理な格差を是正する必要があるというものです。

格差の是正(手当の廃止や支給条件の変更)と併せて、社員に対する格差についての説明義務の準備も求められます。

高年齢者雇用安定法(4月1日施行)

これまで高年齢者の雇用については、

60歳を下回る定年制はできないとした上で、65歳未満の定年の定めをしている企業は、

  1. 定年制の廃止
  2. 65歳以上への定年引き上げ
  3. 65歳までの継続雇用制度の導入

のいずれかの措置が義務付けられており(同法9条1項)、大半の企業は、「65歳までの継続雇用制度の導入」により対応していました。

4月1日に施行される高年齢者雇用安定法は、70歳までの就業確保を努力義務として定めています。

対象となるのは、定年を65歳以上70歳未満に定めている企業、もしくは65歳までの継続雇用制度を導入している企業で、次のいずれかの措置を講じるよう努めなければならないとされています。

  1. 70歳までの定年引き上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 70歳までの継続雇用制度の導入
  4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結できる制度の導入
  5. 70歳まで継続的に、事業主が実施する社会貢献事業等に従事できる制度の導入

今回の改正ではあくまで「努力」義務が定められたにすぎず、義務を怠ったとしても罰則等はありませんが、今後罰則等が定められる可能性もあります。

また、人手不足の観点から、高齢労働力の活用が今後の重要な経営課題になる企業も多いと思われますので要注意です。

その他

本年施行される法律として、今回ご説明した他に改正著作権法(1月1日施行)、改正会社法(3月1日施行)、改正意匠法(4月1日施行)などがありますが、紙面の都合上内容は省略させていただきました。

また、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律が成立し、一定数以上の賃貸住宅を管理する賃貸住宅管理業者の登録や、オーナーとの管理受託契約締結時の重要事項説明などが義務化されます。

この規制が6月18日に施行されますので、賃貸住宅管理業者などは注意が必要でしょう(なお、同法のサブリース業者に対する規制は既に施行済みです。)

今年予定されている法改正を一覧表にまとめました。

法令名 施行日
著作権法 1月1日
会社法 3月1日
同一労働同一賃金規制(中小企業) 4月1日
意匠法 4月1日
高年齢者雇用安定法 4月1日
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 6月18日

最後に

今後も法改正情報について可能な限り情報提供していきたいと考えております。

法改正の内容や具体的な対応方法について知りたい、あるいは既に施行済みの法律にまだ対応できていないといったご相談がありましたら、お気軽に弊所へご相談ください。

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