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新型コロナウイルスの蔓延により「新しい生活様式」の実践が求められ、「ウィズコロナ」、「アフターコロナ」といった言葉もよく耳にするようになりました。

そのような中、企業経営においても経営戦略の見直しが求められており、外部環境の変化に対応するために新規事業への参入を検討される企業からのご相談が増えています。

新規事業のアイデアが思いついたらまず確認すべきこと

新規事業の立ち上げの際に問題となるのが、法律を始めとする様々な規制です。

既にある市場に参入する場合においては、既存のビジネスモデルを踏襲する形になるため、法規制への対応は見込みが立てやすいです。

一方、これまでにない新たなビジネスを立ち上げる場合においては、どのような法規制の対象となるのか検討が困難なことがあります。

今回は、新規事業に参入する際、どのような規制の対象となるのか確認するための方法についてご説明します。

法律だけではない

業界の収益性を分析するためのフレームワークである「ファイブフォース分析」では、「参入障壁の高さ」が典型的な競争要因の一つとして挙げられています。

つまり、法規制等の参入障壁が低ければ低いほど競争が激しくなりますので、「参入障壁が低い=新規事業に参入すべき」というように単純に考えることはできません

ただ、中小企業等においては、コスト面などから、どの程度規制が厳しいかは重要なポイントです。

まず検討すべきなのは、当然ですが法規制です。

新規事業に関連する法規制がないかを検討することになります。

法規制には、いわゆる「業法」と呼ばれる業界に関連した法律によるもの(貸金業法、保険業法、宅建業法等)や、業界に限らず特定のビジネスモデルに関連した法律によるものがあり、様々な切り口で複雑に規制されています(この点については後で検討します。)

直接規制する法律がない場合でも、所管する省庁などがガイドラインを出していることもあります

一般的に「ガイドライン」と呼ばれるものは法規制ではなく、法的拘束力を有しませんが、法律の解釈の指針になっていたり、実質的に法規制として扱われているものもあるので注意が必要です。

最後に、こちらも法的拘束力を有するものではありませんが、業界団体などが自主ルールなどを策定していることもありますので、それも参考にする場合もあります。

また、特定のプラットフォームを利用して事業を行う場合には、プラットフォーマーの規約などの確認も見落としてはいけません

とあるショッピングモール型ECプラットフォームを利用して販売事業を行う場合には、その利用規約などのチェックが必要になります。

法規制を調査する視点

では、新規事業について規制する法律はどのような方法で調査すればよいのでしょうか?

決められたやり方があるわけではありませんが、以下のような視点が役立ちます。

B2C事業

新たなビジネスがいわゆるB2Cの場合には、消費者契約法という消費者を保護する一般的な法律規制があります。

また、B2Cの特定の取引を規制する特定商取引法もあります。

B2Bの場合では認められる契約がB2Cの場合には制約される場合も多くあります。

たとえば、損害賠償責任を免責する条項は、B2Bではよく利用されますが、消費者契約では消費者契約法により無効となります(法8条)。

仲介事業

新たなビジネスが、「仲介」事業であるケースでのご相談も多いです。

既存のビジネスで培ったノウハウや取引先などを資産として、顧客に対し、サービスを仲介・紹介するといったものです。

宅地建物取引業法(不動産の賃貸、売買の仲介)、職業安定法(求人求職情報の仲介)、弁護士法(紛争解決の仲介)、金融商品取引法(金融商品選択・投資情報の提供)など、仲介ビジネスを規制する法律は多くありますので十分に要注意です。

販売関係

販売関係における法規制も多くあります。

食品衛生法(食品)、酒税法(酒)、薬機法(医薬品)、金融サービス提供法(金融商品)などです。

ちなみに、全く異業種から医薬品及び医薬部外品等を販売するということは考えにくいかもしれませんが、医薬品だと認識していない成分を輸出販売しようと思ったら、薬機法上「医薬品」という扱いであることが判明し、薬機法規制をクリアしなければならなくなったという相談事例もありました。

「医薬品」というのは製薬会社が製造した物だけではないので注意が必要です。

決済に関する法律

新たなビジネスの決済において、現金だけでなく、分割支払やポイント制度を用いる場合や決済代行等決済手段を提供する場合には、割賦販売法資金決済法などの法規制の対象となる場合もあります。

その他

他にも、意外と見落としがちな法規制を紹介します。 

電気通信事業法

WEBサービス等において、特定ユーザー間で通信を行うことができる場合には、電気通信事業法による届出が必要になります。

プラットフォームビジネスなどにおいては注意が必要です。

個人情報保護法

特にB2C事業においては個人情報を取り扱う事となりますが、個人情報の取得、提供などの段階において規制がありますので、注意が必要です。

道路旅客運送業(道路運送法)

自動車を使用して旅客を運送する事業は、旅客自動車運送事業として許可を取得する必要があります。

注意すべきは、とある事業に送迎も加えている場合等です。

完全に無償で行っている場合には、業として行っているとはいえませんが、形式的には無償サービスとしていても、実質的に運送によって対価を得ているとされると許認可が必要となってしまう場合があります。

当然、上記の視点で全ての法規制が網羅されるわけではありませんが、一つの参考としていただければと思います。

確認する手段は?

業種別創業ガイド

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中小企業基盤整備機構が運営する「J-NET21」というWebサイトに「業種別開業ガイド」というページがあります。

ここには300以上の業種から開業準備に関しての手引がまとまっており、必要な許認可が記載されているので参考になります。

行政機関に対する照会手続

新たな事業活動を行うに際し、行政機関に対し新規事業が特定の法律に適用されるかどうか照会できる制度があります。

ノーアクションレター制度

新規事業に係る具体的行為に関して、その行為が法令の規定の適用対象となるかを、その規定を所管する行政機関に確認する制度です。

ノーアクションレター制度では過去の回答が公表されることになっているので、各行政機関のホームページに記載されている回答が参考になる場合もあります。

ちなみに、「ノーアクションレター」とは、法令に抵触しないと行政機関が考える場合に「特定の対処を行わないことを言明する」という意味です。

グレーゾーン解消制度

具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度です。

ノーアクションレター制度に類似した制度ではありますが、ノーアクションレター制度は確認の対象となる法令が限定される一方、確認対象となる法令が制限されないことが特徴です。

弁護士のリーガルチェック

弁護士吉原

行政機関に対する照会手続は簡易な書面で即時に対応されるというものではなく、一定のハードルがあります。

そこで、弁護士にご相談いただく方法が最も効率的で、よく利用されているといえるしょう。

実際のご相談では、新規事業について許認可が必要である、あるいは法規制がありそうなのはわかったが、具体的行為に即して法令が適用されるのか、という点について微妙な判断を要する事例が多いです。

一見魅力的に映る事業が、実は法規制が厳しいために誰も手が出せないビジネスモデルであった、という場合もよくあります。

明らかに規制に抵触する場合には、たとえそれが時代にそぐわない規制であるとしてもリスクがあるので避けるべきですが、新規事業のリーガルチェックは、法規制を踏まえてどのような点に配慮すれば新規事業を立ち上げることができるか、という視点での確認を行うことを意識しています

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