はじめに

事案の概要

裁判所

大阪地方裁判所は、平成30年4月17日、関西を中心に洋菓子の製造販売を行う株式会社モンシェール(Mon cher)が、同社の人気ロールケーキ「堂島ロール」の商標権が侵害されているとして「堂島プレミアムロール」を販売する株式会社堂島プレミアムに対してロゴマークの使用差止と1億円の損害賠償を求めていた訴訟で、モンシェールの請求を認める判断を下しました(ただし、損害賠償については1億円の請求に対し、3426万円の支払いを命じる内容)。

また、東京地方裁判所は、同月27日、酒店を営んでいる個人が、同人が製造販売を行う日本酒「白砂青松」の商標権が侵害されているとして、森島酒造株式会社に対し、「大観白砂青松」の使用差止を求めていた訴訟で、個人の請求を認める判断を下しました。

リスクを回避するには?

事業を行っている者にとって、自社が製造・販売する商品に名称やロゴマークを付すことは日常的に行っていることだと思いますが、それが他人の商標権を侵害していると判断されてしまえば、今回の裁判例のように、使用差止や多額の損害賠償の義務が発生してしまうリスクがあります。

そこで、今回は、そもそも商標とは何か、どのような場合に商標権の侵害となるのか、商標権を侵害してしまわないためにどのようなことに気をつけなければならないのか等についてご説明しようと思います。

商標とは

商標とは、「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」で「業として、商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用するもの」とされております(商標法2条1項)。

つまり、簡単にいうと、商標とは、商品に付されるロゴ、トレードマークであり、商標を付すことによって、商品の出所や品質を示し、広告宣伝の機能を果たすことができるものです。

商標権は特許庁への登録手続によって発生し、登録要件を満たしているか否かの審査を経て商標権を獲得した場合には、登録の日から10年間存続します(19条1項、更新可)。そして、商標権を獲得した者は、自己の商標権が侵害され、または侵害されるおそれがある場合にはその差止や損害の賠償を求めることができます(36条)。

商標権の侵害になる場合

では、どのような場合に商標権を侵害していると判断されるのでしょうか

商標権の侵害とは、「指定商品に類似する商品であって、その商品や包装に登録商標に類似する商標を付して使用する」場合を言います。

つまり、既に登録手続によって商標権を有する商品と類似する商標を使用した場合に、商標権を侵害したことになるのです。

そして、類似しているかどうかは、それぞれの商標の外観、呼称が取引者に与える印象・記憶等を全体的に考察して、商品の出所混同を生じるほど紛らわしいかどうかという視点で判断されます。

簡単にいうと、消費者がその商品を見たときに他社の商品と誤認してしまうほど似ていれば、商標権の侵害となるのです。

たとえば、前述の堂島ロールの例でいうと、大阪地裁は、以下のような理由から、商標権の侵害があると判断しました。

  • モンシェールが販売する「堂島ロール」はロールケーキであって「洋菓子及びパン」に分類される商品であること
  • 株式会社堂島プレミアムが使用していた「堂島プレミアムロール」のロゴはモンシェールが使用していた「堂島ロール」の高品質版であるという印象を消費者に与え混同を生じさせること

商標権を侵害しないために最低限やるべきこと

「特許情報プラットフォーム」

商標の使用を開始した後に商標権の侵害が発覚してしまうと、使用差止や損害賠償のリスクがあることは前述のとおりです。

そこで、実際に商標の使用を開始する前の準備段階で、既存の商標を侵害しない名称やロゴを考案する必要があります。

ご存知の方も多くいらっしゃるとは思いますが、特許庁が公表している「特許情報プラットフォーム」というサイトでは、キーワードを入力することで、一般人でも、無料で、既に登録されている商標を確認することができます。

中小企業もひと事ではありません!

弁護士向井

使用差止や損害賠償の請求を受けるのは有名な大企業だけと安心してはいけません。

たしかに、裁判まで発展する例は限られているかもしれませんが、弊所にも、「商標権を侵害しているという理由で使用差止や損害賠償を求める書面が届いたが応じる必要があるのか」、「商標の変更を求められて既に変更を行ったが、看板や包装のやり直しを余儀なくされて多大な費用を要してしまい、赤字を計上してしまった」というような相談が寄せられることがあります。

このような事態になってしまう前に、最低限、前述した「特許情報プラットフォーム」で既に登録されている商標を確認するようにしてください。

そして、万が一、商標を侵害しているという指摘を受けてしまった際には、たくみ法律事務所の弁護士にご相談ください

弁護士向井 智絵

鹿児島県鹿児島市出身。
人事・労務管理の問題に注力しており、福岡県弁護士会では労働法制委員会に所属。
労働問題に関する最新の動向も把握しておりますので、是非一度ご相談ください。

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