はじめに-保険代理店にとっての広告のハードル-

先日、東京にて保険代理店の方々に広告規制をテーマに講演をしてきました。

東京で行われた保険代理店向けの研究会にて講師を務めました

近年、大型の乗合代理店等がテレビCM等の広告をするようになり、ホームページを整備されている保険代理店も増えてきたように思われます。

保険代理店による広告は、景品表示法や、保険業法などの規制があります。

さらに、保険代理店にとっては、保険会社との関係でも、審査・承認というハードルもあり、保険代理店独自の広告については消極的なのが実情と思われます。

ただ、今後は募集チャネルの一つとして、ホームページ等の広告を検討されている代理店も増えていくと思いますので、広告をしていくことを検討する際に、注意すべき点を簡単にまとめています。

保険会社への審査・承認

弁護士壹岐

まず、前提ですが、保険代理店は保険会社の間の契約で、募集文書(ホームページ以外も含みます。)については審査・承認を得なければならない、募集文書については指示に従うとされていると思われます。

そのため保険代理店が保険商品について広告をする場合などは、保険会社から審査・承認を得る必要があります。

実際に、比較書類を審査依頼したものの、一律で禁止されたという話も耳にします。

しかし、景品表示法や保険業法、ガイドライン等に違反しない適法な広告内容である場合には、広告が認められなければなりません。

また、乗合代理店の場合、複数の保険会社の商品が比較表示された資料であるから、代申会社等だけでは判断できないなどとされる場合もあるようですが、生命保険に関して生保協会が、「保険募集人の体制整備に関するガイドライン」で、「自社引受商品に係る表示部分の適切性についての審査を省略できない」としております。

社内における広告や募集用資料作成に関しての体制を整備した上で、広告を活用していくことも検討すべきでしょう。

景品表示法上の規制

景品表示法とは

さて、広告規制についてですが、広告については景品表示法上の規制があります。

これは保険代理店に限らず、一般的な広告を規制する法律です。

景品表示法は、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」といいますが、不当景品と不当表示に対して規制しています。

不当景品は、景品の価額の最高額についての規制ですが、景品については特別利益提供禁止の点から、問題になることは少ないでしょう。

広告で問題となるのは、不当表示です。

優良誤認表示と有利誤認表示

不当表示には、「優良誤認表示」「有利誤認表示」があります。

優良誤認表示とは、商品等の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際より著しく優良であると示すものです。

有利誤認表示とは、商品等の価格その他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると誤認させるものです。

優良誤認表示と有利誤認表示の最もわかりやすい違いは、対象が、「商品の等の品質、規格その他の内容について」(優良誤認表示)か、「価格その他の取引条件」(有利誤認表示)かです。

優良誤認表示の例としては、

「どんな場合でもロードサービスは無料!」

等、免責条件等を記載せずに、メリットだけを記載してしまう場合などが典型です。

ちなみに、消費者庁HPで記載されている優良誤認表示事例を紹介します。

「医療保険で『入院1日目から入院給付金をお支払い』と表示したが、入院後に診断が確定した場合、その日からの給付金しか支払われないシステムだった。」

保険業法上の規制

保険業法上の規制としては、「虚偽告知」や「断定的判断の提供禁止」等がありますが、ここでは、広告において記載が考えられる比較表示について説明します。

比較表示とは、複数の保険商品を比較して表示するなどしたものです。

保険業法上は、「一の保険契約の契約内容につき他の保険契約の契約内容と比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げ、又は表示する行為」が禁止されています(保険業法300条1項6号)。

では、ここでいう「誤解させるおそれ」については、保険会社向けの総合的な監督指針で詳細が記載されています(Ⅱ-4-2-2(9)②)。

  1. 客観的事実に基づかない事項又は数値を表示すること。
  2. 保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示さず一部のみを表示すること。
  3. 保険契約の契約内容について、長所のみをことさらに強調したり、長所を示す際にそれと不離一体の関係にあるものを併せて示さないことにより、あたかも全体が優良であるかのように表示すること。
  4. 社会通念上又は取引通念上同等の保険種類として認識されない保険契約間の比較について、あたかも同等の保険種類との比較であるかのように表示すること。
  5. 現に提供されていない保険契約の契約内容と比較して表示すること。
  6. 他の保険契約の契約内容に関して、具体的な情報を提供する目的ではなく、当該保険契約を誹謗・中傷する目的で、その短所を不当に強調して表示すること。

ここで細かく説明できませんが、これはいわゆるセーフハーバー・ルール(当該ルールを遵守している限り、法令違反とならないことが明確されたもの)とされています。

最後に

弁護士壹岐

他の体制整備で大変なのに、広告等についての体制整備をしている暇はないと思われる代理店も多いと思われます。

また、比較表示規制など「誤解を生じるおそれ」に該当するかどうかなど判断が難しいものも多いです。

しかし、保険代理店としても、緊急性は低いものの重要な経営課題として取り組まれることをお勧めします。

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弁護士 壹岐晋大

1986年山口県生まれ。
企業法務分野に取り組む際には、『経営者と同じ方向を見る』という姿勢を一貫しており、企業の『考え方』を共有し、『目標を達成』することを大切にしている。

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