コンビニ

最近、コンビニエンスストアや飲食店等において、接客する外国人の方を見かける機会が増えていると思いませんか?

ここ福岡でも、近年、外国人雇用者数が増加しています。

今回は、企業が適法に外国人を雇用できるよう、外国人雇用に関する主な法規制を説明し、外国人の採用の仕方をケース別に説明します

※当コラムの内容は、2018年2月時点の法令に基づいております。

外国人雇用に関する法規制

企業経営者が特に注意すべき法規制として、出入国管理及び難民認定法(入管法)による規制と雇用対策法による規制があります。

以下、それぞれの規制について説明します。

在留資格と在留期間を確認しましょう!

入管法により、日本に在留する外国人は、入国の際に与えられた在留資格の範囲内で、定められた在留期間に限って在留活動(就労等)が認められています。

すなわち、在留資格の内容により就労できる仕事(就労資格の有無)が変わってきます。

具体的には以下の表のように、在留資格の内容により、就労制限が異なります。

① 在留資格に定められた範囲で就労が認められる資格
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、技能実習、特定活動(ワーキングホリデー、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士等)

在留資格で定められた範囲の就労が可能です。

一般の企業で特に多いと考えられる資格は、技術(コンピューター技師、自動車設計技師等)、人文知識・国際業務(通訳、語学の指導、為替ディーラー、デザイナー等)、企業内転勤(企業が海外の本店又は支店から期間を定めて受け入れる社員)、技能(中華料理・フランス料理のコック等)の4種類です。

② 原則として就労が認められない在留資格
文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在

原則就労ができせん。

しかし、在留する外国人の方が、地方入国管理局で資格外活動の許可を受けていれば就労ができます。

そして、資格外活動の許可を得れば、原則1週28時間まで、職種制限なく(風俗営業等を除く)、就労することが可能となります。

そこで企業の経営者は、②の在留資格を有する外国人を雇用しようとする際、当該外国人の方が資格外活動許可を受けているかを確認する必要があります。

③ 就労活動に制限がない在留資格
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

就労活動に制限はありません。

ただ、例えば日系人として定住者の資格を有していても「短期滞在」の在留資格(上記表の②の資格に該当)により在留している場合、原則就労できません。

この場合、地方入国管理局において在留資格を定住者に変更すれば、就労活動に制限はなくなります。

また、就労資格があったとして、日本に滞在できる期間(在留期間)を経過してしまえば、やはり、仕事をすることができません。

したがって、外国人を雇用する場合は、

  1. 就労させようとする仕事の内容が在留資格の範囲内の活動か(又は、範囲外でも資格外活動許可を得ているか)
  2. 在留期間を過ぎていないか

を確認する必要があります。

就労資格の有無と在留期間のおすすめ確認方法

在留カードイメージ

就労資格の有無と在留期間を確認する方法はいくつかありますが、おすすめの方法は雇用しようとする外国人方に在留カードの提示をしてもらう方法です。

在留カードは、中長期滞在者に対して交付されるカードであり、携帯義務が課されています(なお、短期滞在者はそもそも収入を伴う就労ができません)。

そして、このカードの表面には、在留資格と就労制限の記載があり、裏面には、資格外活動許可の有無の記載あります。

そのため、在留カードを見れば、企業は簡単に外国人の就労資格の有無と在留期間を確認することができます

企業経営者への罰則規定

判決

前述のとおり、就労が認められない在留資格で在留している外国人や在留期間を超えて滞在している外国人は就労できません。

不法就労をした外国人は、退去強制等に処せられます。

そして、不法就労外国人を雇用した事業主は、不法就労を助長した者にあたるとして、入管法第73条の2により3年以下の懲役又は300万以下の罰金に処せられてしまう可能性があります。

また、同罰則規定は、不法就労を知らないことを理由として処罰を免れることはできません(知らないことに過失がないと認められる場合のみ処罰を免れることができます)。

したがって、外国人を雇用する際には、必ず、在留カードを確認するなどして、就労資格の有無と在留期間を確認してください(確認を怠った場合、過失がないとは認められず、不法就労助長罪が成立する可能性が高いです)。

雇用対策法による規制

雇用対策法は、外国人を雇用するすべての事業主は、外国人労働者の雇入れまたは離職の際、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等について確認し、ハローワークへ届け出ることを義務付けています(外国人が特別永住者または在留資格が「外交」・「公用」の者は例外的に届出が不要です)。

届出期限は雇入れ、離職の場合ともに翌月の末日までとなっています。(なお、雇用する外国人が会社の雇用保険に加入する場合、雇用保険の被保険者資格の取得届の備考欄に、在留資格、在留期限、国籍等を記載して届け出ることができます。)

冒頭で紹介した福岡に本社がある人気ラーメン店が家宅捜索を受けたのは、この届出義務違反が疑われたためです。

そして、同届出を怠った場合や虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となります(雇用対策法40条1項2号)。(なお、届出方法等の詳細については、厚生労働省ホームページで確認できます。)

外国人採用の仕方

雇用したい外国人が日本国内にいる場合(留学生の新規採用等を除く)

まず、在留カードにより、就労資格の有無と在留期間を確認してください。

就労資格と在留期間に問題なく、雇用することになった場合、ハローワークにその旨を届出てください。

なお、就労資格がない場合、雇用しようとする外国人が在留資格変更許可もしくは資格外活動許可を得れば、雇用が可能となります。

雇用したい外国人が国外にいる場合

まず、企業が、勤務予定地を管轄する地方入国管理局にて在留資格認定証明書交付申請を行い、「在留資格認定証明書」の交付を受けてください。

そして、同証明書を雇用予定の外国人の方に送付し、その外国人の方に在留資格を取得してもらいます。

無事外国人の方が在留資格を取得できれば、雇用し、ハローワークにその旨を届出を行ってください。

留学生を新規採用する場合

外国人の在留資格が「留学」となっている場合、在留資格の変更許可を受ける必要があります(申請は原則外国人本人が行いますが、本人から依頼を受けた雇用先企業職員や一定の行政書士、弁護士等も申請を行えます)。

在留資格の変更許可を無事受けることができれば、ハローワークに届出を行ってください。

おわりに

以上が、外国人の採用に関する基本的な法規制や採用の流れになります。

もっと、外国人の採用に関しては、技能実習制度(外国人の方が日本の企業で働くことにより日本の高い技術を身につけ、その国の発展を担う人を育てる「人づくり」を目的として創設された制度)や高度人材ポイント制(高度な外国人の受け入れを促進する制度)等、複雑な制度があります。

外国人を採用する際に迷ったり、わからないことがある場合は、弁護士や行政書士等の専門家に相談することをおすすめいたします。

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