改正特定商取引法が成立・改正点や今後の動向は?

改正特定商取引法の成立

6月に特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案(以下、改正特定商取引法)が成立・交付されました。

施行日は、交付日から1年6ヵ月以内とされており、改正特定商取引法が適用されるは少し先の話になります。

特定商取引法は、いわゆる消費者保護を図る、消費者三法(特定商取引法・消費者契約法・割賦販売法)の一つで訪問販売や、通信販売等の販売方法に対する規制や、家庭教師契約やエステ契約などの特定継続的役務提供等の事業に対する規制、民事ルールが定められたものです。

よく耳にする「クーリング・オフ」も特定商取引法にも定められています。

今回の改正特定商取引法の中心は、消費者トラブルを生じやすい訪問販売類形等を対象とした規制が強化された点です。

電話勧誘販売における過量販売規制導入

改正点は何点かありますが、その一つに、過量販売への対応があります。

平成20年改正により訪問販売に過量販売解除規制が導入されましたが、今回の改正で、電話勧誘販売においても、過量販売解除規制が導入されました。

過量販売規制とは、消費者が通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等について、行政処分の対象とするとともに、申し込みの撤回又は解除をすることができるようになるということです。

消費者庁が過量のイメージとして例にあげているのは、寝具(4ヵ月で6回購入)、化粧品(72本の化粧水と乳液、2,160袋のパウダーを購入)などです。

 日本訪問販売協会の「『通常、過料に当たらないと考えられる分量の目安』について」も参考にすべきです。

アポイントメント・セールスにおける来訪要請手段の追加

今回の改正法のベースとなったは、平成27年12月の特定商取引法専門調査会提出の報告書ですが、その中では、訪問販売に関する事項として、アポイントメント・セールスにおける来訪要請手段について規制範囲を拡大すべきとされていました。

つまり、アポイントメント・セールス(店舗等への来訪を要請して店舗等で物を売りつける訪問販売の類型)についても、「訪問販売」として規制対象となっていましたが、その来訪要請手段が、「電話、郵便、信書便、電報便、FAXもしくは電子メール」のみが対象となっておりましたが、SNS・電子公告等も来訪要請手段の対象に加えるべきということです。

今回の改正法上は、アポイントメント・セールスの来訪要請手段についての直接の規定は定められていません。

しかし、来訪要請手段については法律で定められているわけではなく、特定商取引に関する法律施行令(第1条1号)で定められているので、今後この政令が改正される可能性は高いと思われます。

その場合には、消費者に対し、SNS等でイベント告知を行った上で、その会場で商品を得る場合などには、勧誘することがSNSの投稿上に記載されていなければ、アポイントメント・セールスとして訪問販売に該当する可能性があり、訪問販売に該当すれば、特定商取引法の規制対象となります

つまり、書面交付をしないことにより、クーリング・オフの対象とされてしまう可能性があります。

これは、これまで訪問販売ではないから、特定商取引法は関係ないと考えていた企業が特定商取引法上の規制を考えなければならない可能性があるということなので、注目していく必要があるでしょう。

最後に

今回の法改正では見送られましたが、いわゆるインターネット通販の利用拡大による苦情件数の増加に伴い、インターネットモール事業者に対し、特定商取引法上の特別の義務を課すか否かという議論がなされていましたが、今回の改正では、インターネット事業者による自主的な一定の取り組みを評価し、見送られることとなりました。

今後も、これまで特定商取引法が想定していた取引態様以外での取引が活発となり、消費者問題も日々新たな問題が発生することが考えられます

対象事業者のみならず、今後の特定商取引法等の消費者三法の動向に注意が必要です。

たくみ法律事務所では、特定商取引法関係事業者様からのご相談に対応しております。

個別の相談や、従業員向けセミナーの開催等も含め、お気軽にご相談下さい。

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弁護士 壹岐晋大
1986年山口県生まれ。 企業法務分野に取り組む際には、『経営者と同じ方向を見る』という姿勢を一貫しており、企業の『考え方』を共有し、『目標を達成』することを大切にしている。

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