日本は地震や台風など災害が多く発生する土地です。

九州でも、毎年の台風、熊本地震、平成29年7月九州北部豪雨、平成30年7月豪雨など多くの災害が発生しています。

大きな災害が発生すると、事業の休止を余儀なくされる、従業員が通勤できなくなる、帰宅できなくなるなどの問題が生じます。

この記事では、地震などの災害時によく問題となる労務問題について、Q&A方式でご説明します。


災害発生時、時間外労働や休日出勤を命じることができるか?

非常災害時、36協定の協定内容を超えて、または36協定を締結していない場合においても、労働基準監督署に事前に許可を受け、時間外労働・休日労働を命じることができます。

しかし、通常はそのような事前許可を受ける余裕が無い場面であるため、そのような場合には、事後に遅滞なく届け出れば良いとされています(労働基準法33条 )。

また、災害時の場合には、労働基準監督署長の許可により、年少者にも時間外・休日労働・深夜業が認められています(同法60条1項、61条4項)。

当然ではありますが、いずれの場合も、時間外労働、休日労働に対する割増賃金の支払が必要です。

店舗、事務所が倒壊し、営業ができないため従業員を自宅待機にしています。給与を支払う必要があるのでしょうか?

給与を支払う必要はありません。

労働基準法上、会社都合で従業員を休業させた場合、平均賃金の60%の休業手当の支払が必要になりますが(同法26条)、地震等による非常事態の場合は、会社都合ではなく、休業手当の支払は不要です。

もっとも、店舗、事務所はなんら問題はないものの、地震の影響により客が見込めない等の会社の都合を理由として自宅待機とした場合、休業手当の支払の必要が生じます。

従業員から、住宅の修理、家族の安否確認などの理由で、休暇がほしいとの申出がありました。非常時なので休暇を与えなければならないのでしょうか?

法律上は非常時の特別休暇についての規定はありませんが、有給休暇として請求された場合、事業の正常な運営の妨げとならないかぎり、有給の時期の変更はできません(労働基準法第39条5項)

また、就業規則上に災害時の特別休暇などの規定がある場合はそれに従って付与することになりますが、これらの規定がない場合においても、当然休暇を与えてはいけないわけではないので、緊急事態であるため、積極的な休暇取得を検討すべきではあります。

災害発生時、帰宅困難の従業員を会社で待機させました。残業代は発生するのでしょうか?

労働時間とは、従業員が会社の指揮命令下におかれた時間をいいますが、単純に自宅に帰れないために、会社を待機場所として提供していたに過ぎない場合には、労働時間とはいえず残業代は発生しません。

しかし、待機時間に業務や電話対応などを指示していた場合などは、指揮命令下にあるといえ、残業代が発生します。

これ以外にも、地震など非常事態のときにはさまざまな予期せぬ問題が生じます。

従業員の役割分担、非常食・飲料水の準備、採用予定であった新入社員の扱い、労災問題、取引先の被災の場合の対応、重要書類の保管・持ち出し、システムのバックアップについてのルールなど、考えておくべき問題は多々あります。

災害に備え、政府も推奨している「BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)」の策定をしておくことも重要です。

BCPとは、自然災害、大火災等の緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです(中小企業庁HP・中小企業BCP策定運用指針参照)。

労務問題に限らず、災害対策としてもなにかお困りのことがあればお気軽にご相談ください。

弁護士 壹岐晋大

1986年山口県生まれ。
企業法務分野に取り組む際には、『経営者と同じ方向を見る』という姿勢を一貫しており、企業の『考え方』を共有し、『目標を達成』することを大切にしている。

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