IT

今年1月、福岡で昨年に続いて2回目の緊急事態宣言が発出されました。

出勤者数の7割削減が要請されたこともあり、今回の緊急事態制限を受けてテレワークを導入した企業も多いと思います。

これまで、「どのような規程を整備すべきか」「どのような労働時間制度を採用すべきか」など、テレワーク導入時の制度設計の観点から情報提供を行ってまいりました。

他方で、実際にテレワーク勤務者が増えたことで、テレワーク特有の問題社員対応に困っているという声も耳にするようになりました。

今回からテレワークにおける問題社員対応について数回に分けてご説明します。

テレワーク時代の問題社員とは

テレワークにおける問題社員の典型例として、

  1. リモートハラスメント
  2. 情報漏えい
  3. サボり

が挙げられます。

リモートハラスメント(リモハラ)

リモートハラスメントはテレワーク勤務でのハラスメントで、「リモハラ」などと略されたりします。

「カスハラ」など昨今の「○○ハラ」の増殖には食傷気味ですが、テレワーク特有のハラスメントがあるのは事実です。

リモハラと呼ばれる行為の例として挙げられるのは、「WEB会議で皆の前で一人を叱責する」、「『自宅の部屋を見せて』などと言ってプライベートを詮索する」「業務時間外の対応を要求する」などです。

情報漏えい

テレワークを導入すると、従業員の自宅などで会社の情報を利用しなければならない場面が生じます。

機密資料を社外に持ち出す必要性が生じたり、脆弱性のある端末やネットワークを使用することによって、情報漏えいの機会が増加します。

サボり

その他に、従業員の管理が困難になり、サボる社員が生じるおそれもあります。

これまでは会社で勤務の状況を見ることで、従業員がきちんと仕事をしているか、どのような仕事をしているかをある程度管理することができました。

ところが、テレワークではそもそも自宅で仕事をしているのかどうかもわからないということがあり得ます。

従業員が使っているPCのモニタリングはできる?

会社が貸与した端末の私的利用

個人情報保護

サボりや情報漏えいを防止するため、テレワーク中の従業員のPCをモニタリングしたいと考える企業も多いでしょう。

現在、様々なモニタリングのサービスが提供されていますが、やはり考えなければならないのは、社員のプライバシー、個人情報などに対する配慮です。

会社がPCを貸与している場合、そもそも私的に利用すること自体が一切許容されず、モニタリングも可能であるとの考えもあるかもしれません。

たしかに、就業規則で私的利用が禁止されていることは多いですし、そのような規定が無効となるものではありません。

しかし、実際には多かれ少なかれ私的利用はありますし(私用メールの確認等)、軽微な私的利用を理由に懲戒処分などをすれば無効になる可能性もあります。

一定の範囲で私的利用が許容される関係上、やはりプライバシーや個人情報への配慮の必要性は生じると考えるべきでしょう。

行き過ぎたモニタリングは、会社の責任問題にもなりますし、違法なモニタリングによって得た情報をもとにした懲戒処分はその有効性が争われることになります。

モニタリングを行う場合、業務に用いているからといって従業員が所有しているPCやスマートフォンなどのデバイスをモニタリングすることは現実的に難しいので、会社が貸与しているデバイスをモニタリングするということになると思われます。

モニタリング規程の整備

モニタリングを実施する場合には、モニタリング規程を整備するのが望ましいでしょう。

個人情報保護委員会が公表しているQ&Aでは、モニタリングを実施する際の留意事項として

  1. モニタリングの目的をあらかじめ特定した上で、社内規程等に定め、従業者に明示すること
  2. モニタリングの実施に関する責任者及びその権限を定めること
  3. あらかじめモニタリングの実施に関するルールを策定し、その内容を運用者に徹底すること
  4. モニタリングがあらかじめ定めたルールに従って適正に行われているか、確認を行うこと

が望ましいとされています(「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』及び『個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について』に関するQ&A」4-6)。

全従業員がモニタリングを行う対象となる場合は、就業規則に記載することが必要とされます(労働基準法89条10号)。

このような規程化が、対従業員のプライバシー侵害等のリスクを回避することに繋がります。

そして、具体的な実施方法として、調査の対象となる媒体、調査する時間、調査の方法、収集した情報の保存期間などを規程化しておくべきでしょう。

そのうえで、実際にモニタリングを実施するにあたっては、

  1. 実施の必要性(情報漏えいが発生しているのか)
  2. モニタリング方法による従業員の不利益の程度(モニタリング時間、方法)
  3. 規程の周知

を考慮する必要があります。

関連記事

お問い合わせはこちら

企業側・使用者側専門の弁護士にお任せ下さい新規予約専用ダイヤル24時間受付中!メールでの相談予約