二重価格表示が景品表示法(景表法)違反となる場合とは?

二重価格表示が景品表示法(景表法)違反となる場合とは?

通信販売

2018年10月、大手通信販売業者が不当な二重価格表示をしたとして消費者庁から景品表示法違反(有利誤認)で措置命令を受けました

この記事では、二重価格表示に関する景品表示法の規制についてご説明します。

二重価格表示とは

二重価格表示とは、「通常販売価格」などの比較対象価格と「値引き価格」などの実際の販売価格を店頭で併記して販売することをいいます。

二重価格表示は販売価格の安さを強調することができ、消費者に対して強い訴求力を有していることから、広告や店頭の価格表示などで頻繁に利用されています。

ところが、もし「通常販売価格」による販売実績が極めて乏しかったり、安く感じさせるための実態のない価格だったとすると、消費者は、実際は通常どおりの価格であるにもかかわらず「お得な価格である」と誤認して商品を購入してしまうおそれがあります。

そのような二重価格表示は、景品表示法(景表法)が規制する不当表示のうち有利誤認に該当し、違法とされる可能性があります。

二重価格表示違法となる条件

二重価格表示が直ちに有利誤認に当たるわけではなく、比較対象価格に「最近相当期間にわたって販売された実績」があれば問題がないとされています。

「最近相当期間にわたって販売された実績」があるかどうかは、その価格で販売されていた時期及び期間、対象商品の一般的価格変動の状況、その店舗における販売形態等を考慮しつつ、個別に検討されることになりますが、消費者庁のガイドラインでは次のような基準が定められています。

  1. 二重価格表示を行う時点からさかのぼった8週間において、当該価格で販売されていた期間が、当該商品が販売されていた期間の過半を占めていること。
  2. 当該価格での販売期間が通算で2週間以上であること。
  3. 当該価格で販売された最後の日から2週間経過していないこと。

冒頭にご紹介した大手通信販売業者の事案は、比較対象価格での販売が終了してから1か月以上経過してから、通常価格と「会員様特価」を二重に表示していたことから、3つ目の条件を満たしておらず、措置命令に至りました。

問題となりえるその他のケース

将来の販売価格の二重表示

比較対象となるのは過去の販売価格に限られず、将来の販売価格を比較対象価格とするケースもありえます。

たとえば、新製品のスーツを売るときに「新社会人応援キャンペーン」と銘打って「3月末までにご購入いただければ、通常価格30,000円のところ15,000円に割引いたします。」という広告を出すようなケースです。

この場合は、表示された将来の販売価格が十分な根拠のあるものでなければならず、実際に販売することがない価格であったり、ごく短期間だけその価格で販売するにすぎない場合には、有利誤認に当たるおそれがあります。

商品が同一でない場合

上記3つの条件を満たしていたとしても、販売する商品が同一でない場合は違法となりえます

たとえば、新品の商品を5万円で1か月間販売し、傷のついた展示品を3万円で販売するときに、その事実を隠して「通常価格から40%引き」と表示することは、同一の商品とはいえず違法となる可能性が高いでしょう。

弁護士にご相談ください

弁護士野中

価格表示の方法はさまざまであり、景表法違反となるかどうかを判断するためには個別の事案の事情をお伺いする必要があります

景表法違反として消費者庁の措置命令を受けると、多額の課徴金を課されたり、事実が公表されて消費者や取引先の信頼を失うおそれがあります。

二重表示について「景表法違反になるのではないか」と疑問を抱かれたときには、たくみ法律事務所の弁護士にご相談ください

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