法改正

国会で審議されていた働き方改革関連法が成立しました。

「雇用契約法」「労働基準法」など8つの法律が改正され、2019年4月以降、順次施行されます。

政府が推進する「働き方改革」を実現するために大きな舵が切られたことになります。

働き方改革関連法のポイント

働き方改革関連法のポイントは、大きく分けて次の7つです。

POINT 1. 残業時間の上限規制

時間外労働の上限が、年720時間、月100時間(休日労働含む)、2~6か月の平均80時間に設定され、違反した企業には罰金が課されます。

1947年に労働基準法が制定されて以来、初めて法律上の上限が定められることになります。

POINT 2. 有給取得の義務化

10日以上の有給休暇がある労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を取得させることが企業に義務付けられます。

POINT 3. 勤務インターバル制度の普及促進

企業は勤務インターバル制度の普及促進に努めなければいけません。

勤務インターバル制度とは、前日の終業時間と翌日の始業時間の間に一定時間の休息を確保するものです。

POINT 4. 割増賃金率の猶予措置廃止

時間外労働が月60時間を超えた場合に50%の割増賃金率をかけた賃金を支払わなければいけない割増賃金率の制度は、中小企業には猶予措置が取られていました。

今回の改正により、この猶予措置が廃止されます。

POINT 5. 産業医の機能強化

従業員の健康管理に必要な情報を産業医に提供することが企業に義務付けられます。

POINT 6. 同一労働同一賃金

正社員と非正規労働者の待遇に不合理な差をつけることが禁止されます。

不合理な待遇差を解消するための規定が整備されるほか、労働者に対する待遇に関する説明義務が強化されます。

POINT 7. 高度プロフェッショナル制度

激しく議論が交わされたのが高度プロフェッショナル制度、いわゆる「高プロ」です。

高収入で専門知識を持った労働者について、本人の同意などを条件に労働時間の規制から外すことが認められます。

高プロで働く労働者は、自由に働ける代わりに、残業や深夜・休日手当が支払われません。

高収入かどうかの判断は年収1075万円が基準となります。

最後に

政府が柔軟な働き方を促進している背景には、労働人口の減少による中小企業の深刻な人手不足があります。

2018年1月には厚生労働省のモデル就業規則が改訂され、副業禁止規定が削除されたのも記憶に新しいところです。

2019年4月の施行に向けて、雇用契約書や就業規則の見直しを始めとしてさまざまな対応が企業に求められることになります。

今回の法改正を、自社の人事戦略を見直し、経営を活性化させるための契機として捉えてみてはいかがでしょうか。

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