「人材育成」がテーマだとなぜみな饒舌なのか?

人材

従業員や部下のモチベーションの上げ方がわからない。

これは多くの経営者や管理職の方が抱える悩みで、実際にご相談が寄せられることも少なくありません。

「人材育成」をテーマに議論をするとき、皆様それぞれ何かしらの意見を持っていると思います。

その理由はおそらく、多くのビジネスマンが過去に人材を育成したり、逆にされたりという実体験を有しているからではないでしょうか。

しかし、自身の体験に由来する考えは、理論的な裏付けが置き去りにされていることが非常に多いです。

また、本来であれば人材育成の議論は「組織的、戦略的な全体的な議論」であるべきですが、「上司・部下という人間関係の中でのコミュニケーションを前提とした人格形成」というレベルで人材育成を議論していることが多々あります(中原淳「企業内人材育成入門」参照)。

理屈だけではなく実践が重要であることはそのとおりですが、部下を持つ方であればモチベーション理論の基本は押さえておくべきでしょう。

動機には「内発的動機」と「外発的動機」の2種類があると言われています。

では、会社が高めるべきなのはどちらだと思われますでしょうか?

若い社員のモチベーションは下がり続けている??

モチベーションに関する本は、古典から、新書や自己啓発本のようなものまで数多く発刊されています。

モチベーションというものは近年になって初めて話題になったわけではなく、長年取り上げられてきた経営学の一大テーマです。

「最近の若者のモチベーションが低い!!」という悩みも、過去からずっと言われ続けてきた話で、今に始まった話ではありません。

今の上司になっている世代はかつての上司から同じことを思われていたし、その上司もさらに上の世代の上司から同じように思われていた…ということです。

では、若い社員のモチベーションは下がり続けているのでしょうか。

そういうわけではありません

モチベーション理論は解明尽くされたわけではないですが、一定の通説的な見解があります。

今回はそれをテーマに基礎からおさえて、明日から使えるモチベーション理論を紹介します。

モチベーションの基本-「内」か「外」か-

まず押さえておきたいのが、モチベーションには「内発的動機」と「外発的動機」の2種類があるということです。

「内発的動機」というのは、自分の内側から起こる意欲またはその意欲を起こす要因です。

他方で「外発的動機」というのは、自分の外側から、誘い出される意欲、またはその意欲を起こす要因です。

内発的動機と外発的動機

やる気を生じさせる起点が「自分の中」にある場合(内発的動機)の例として、「この仕事は自分にとって良い経験となる」というものがあります。

「自分の外」にある場合(外発的動機)の例として、「この仕事を頑張れば賞与が増える!」といったものがあります。

仕事はお金のためだけにやるという人が一定数いるのは事実ですが、そのような方たちも、どこかに内発的な動機があります。

会社の役割は内発的動機を上げること

会社のマネジメントとしては、この「内発的動機」を上げるように努めるのが重要です。

なぜでしょうか。

それは、内発的動機を高めることによって社員が自発的に仕事に取組み、長時間労働もいとわず働き、辞職の可能性が低くなるからです。

このように表現すると、ブラック企業感が漂いますが、当然適切な評価をした上で、内発的動機のある社員が増えたほうが、企業の利益には結びつきやすいといえます。

また、外発的動機というのは、「それがないと不満が高まるが、それがいくらたくさんあったとしても満足や納得にはつながらない」とされています(これを「ハーズバークの2要因理論」といいます。)。

給与等の外発的動機が満足や納得にはつながらないというと意外に思われるかもしれませんが、それがモチベーションに繋がるには、納得できる適正な評価等があることが前提となります。

つまり、汚いオフィス(外発的動機)では仕事のやる気は落ちますが、オフィスをピカピカにしたからといって成長する意欲が高まるわけではないということです。

内発的動機を上げる方法

では、その内発的動機を高めるにはどのようにすべきなのでしょうか。

その答えはシンプルで、「モチベーションサイクルを回す」ことだと言われています。

モチベーションサイクルとは、

  1. 適切なレベルの機会を与える。
  2. その機会に対し、支援をする。
  3. 成功した場合、正当に評価する。
  4. 周囲で共有、承認する。
  5. 承認と同時に、昇給や昇進として報酬を与える。

※①に戻る

というものです。

モチベーションサイクル

ここで最も難しいのは、①の「適切なレベルの機会を与える」ことです。

つまり、難しすぎる目標や優しすぎる目標ではだめで、できるかできないか、ギリギリの目標を与える必要があります。

ギリギリの目標とはどのようなものなのか、単に部下に聞いてもダメです。

なぜなら部下は自分にとって最適な課題を理解していないことが多いからです。

そのために、上司は部下のことをしっかりと理解していなくてはいけません

モチベーション管理の一歩先へ

ギリギリの目標が人を伸ばす

できるかできないかギリギリの目標を設定できるかによって、最終的な目標達成の度合いも変わってくるといわれます。

途中経過の段階で「出来の良い人」、「普通の人」、「出来の悪い人」がいるとすると、その後に数字を伸ばすのは「普通の人」と「やや出来の悪い人」だとされています。

それは、出来の悪い人は目標が難しくて絶望的な状況に陥ってしまい、出来の良すぎる人は慢心から手を抜いてしまう可能性があるためです。

具体的にどうするか

弁護士壹岐晋大

もっとも、どれだけ部下を注意深く見ていてもギリギリの目標を与えることは難しいものです。

そこで、目標の達成状況を都度検討し、必要があれば目標を再設定するのもよいでしょう。

また、個人単位で目標設定をするだけでなく、チームとしての目標を設定することである種の保険として機能することが期待できます。

これはモチベーションの管理するための方法に留まらず、マネジメントの基本でもあります。

これらの施策を行ってもやる気を出してくれないときには次の手段がありますが、これは次回に譲ります。

私自身も組織のマネージャーとして、日々試行錯誤しながらこれらの理論を実践しています。

是非皆様にも参考にしていただければ幸いです。

弁護士・中小企業診断士 壹岐晋大

1986年山口県生まれ。
企業法務分野に取り組む際には、『経営者と同じ方向を見る』という姿勢を一貫しており、企業の『考え方』を共有し、『目標を達成』することを大切にしている。

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