取締役会の招集・決議の手続について弁護士が解説

取締役会の招集・決議の手続について弁護士が解説

取締役

取締役会とは、取締役全員で構成され、会社の業務執行の決定、取締役の職務の執行の監督、代表取締役の選定及び解職を行う機関です。

取締役会を設置するためには、取締役が3名以上と監査役(または会計参与)が必要となります。

また、最低でも3か月に1回は取締役会を開催する必要があります。

ただし、上場会社等を除いて、取締役会の設置は義務ではありません

取締役会の決議事項

取締役会では会社の重要な業務執行に関することを決議しますが、以下の7つの重要事項は必ず取締役会で決議しなくてはなりません。

  1. 重要な財産の処分及び譲り受け
  2. 多額の借財
  3. 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
  4. 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
  5. 募集社債の金額、社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項
  6. 内部統制システムの構築に関する決定
  7. 定款の定めに基づく取締役、会計参与、監査役、執行役または会計監査人の会社に対する責任の免除

そのほか、会社法上、取締役会で決議しなければならない事項が個別に定められています。

よく行われるものとしては以下のような事項が挙げられます。

  • 譲渡制限株式の譲渡・承認取得
  • 株式分割
  • 株主総会の招集に関する事項の決定
  • 代表取締役の選任・解任
  • 利益相反取引・競業取引の承認

株主総会の決議事項との違い

取締役会を設置している会社の株主総会では、会社組織そのものを大きく変更したり、会社の業務執行に大きく影響を及ぼす重要な事項のみを決議します。

  1. 定款の変更、解散や合併などの会社組織そのものに関する事項
  2. 会社の財務に関する事項(計算書類の承認や株主への利益配分、役員報酬等)
  3. 取締役などの役員の選任や解任事項

ただし、取締役会を設置している会社でも、定款で株主総会の決議事項を拡張することは可能です。

取締役会の招集権者

取締役会の招集権者は、原則として各取締役ですが、定款または取締役会において、特定の取締役を招集権者として定めた場合には、その取締役が招集することになります。

招集権者が定められている場合でも、招集権者以外の取締役は、招集権者に対し、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を請求することができ、請求があった日から5日以内に、請求日から2週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集通知が発せられない場合には、請求を行った取締役は、自ら取締役会を招集することができます。

なお、監査役や株主も一定の場合には取締役会の招集を請求したり直接招集したりすることができます。

取締役会の招集通知

弁護士吉原

取締役会の招集権者は、取締役会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合は、その期間)前までに、各取締役と各監査役に通知して行います。

ただし、取締役及び監査役の全員の同意があれば招集手続なしで開催することができます。

なお、取締役会の招集通知には、議題を記載する必要はありません。

取締役会の決議方法

取締役会の決議は、原則として議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行います。

各議題に特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができません。

判例によると、この特別利害関係取締役の数は、定足数・決議要件の数に算入しませんが、当該取締役に対する招集通知は必要です。

また、代理人による決議は認められません。

書面決議

取締役は原則として取締役会に出席して決議を行わなければなりませんが、定款の定めがあれば、決議事項について、提案事項の議決に参加できる取締役の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、提案事項を可決とみなし、決議を省略することができます。

これを「みなし取締役会」といいます。

ただし、監査役設置会社においては監査役が提案について異議を述べたときは書面決議は認められません。

取締役会への報告事項についても、取締役、監査役等が取締役、監査役等の全員に対して取締役会に報告すべき事項を通知したときには、その事項を取締役会に報告することを要しないとされています。

ただし、代表取締役による3か月に1回以上の業務執行状況の報告に関する取締役会については、書面決議や書面報告は認められません。

したがって、取締役会は必ず3か月に1回は開催する必要があるのです。

取締役会に弁護士が同席するメリット

交渉

取締役会では会社の業務執行に関わる重要事項が決定されます。

その中には経営陣が想定できない法的な課題が潜んでいることも少なくありません

取締役会に弁護士を同席させることで、日頃より紛争処理や判例知識を集積している弁護士から適切なタイミングでアドバイスを受けられる可能性が高まり、重大なコンプライアンス違反といったリスクを回避することができます。

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