取締役が会社から損害賠償を請求されるのはどんなとき?
取締役が会社に対して負う義務の内容
取締役は、株式会社の業務を執行する機関の構成員で、株主総会で選任されます。
取締役会はほかの取締役の職務の適法性や妥当性を監督する義務があるほか、会社に対して「善良なる管理者としての義務」と、「忠実に職務を遂行する義務」を負っています。
この義務に違反して会社に損害を与えてしまうと、取締役は会社に対して損害賠償責任を負うことになります。
取締役の責任は?
取締役会ではさまざまな経営判断がなされ、その判断の結果会社に損害を与えてしまうということは少なからずありえます。
そのため、経営判断を行った結果として会社に損害を与えたとしても、必ずしも損害賠償責任を負うわけではありません。
では、取締役が会社から損害賠償を請求されるのはどのような場合なのでしょうか?
取締役の経営判断に関する裁判例
A会社が事業再編計画を作り、その子会社であるB会社の株式を取得することを決めた際に、株式交換の方法ではなく、少数株主との合意によって買い取りすることを決めました。
そして、市場価格が1株当たり1万円であったのに対し、買取価格を1株当たり5万円としました。
この金額を不当に高額であり、会社に損害をあたえたとして、代表取締役および取締役2名にたいして損害賠償請求訴訟が提起されました。
このときは、B会社が設立から5年、設立時の株式払込価格が5万円だったことなどが考慮され、善管注意義務に違反していないと判断されました。
弁護士をご活用ください
会社は取締役会の意思決定に基づいて経営が行われます。
取締役が義務を怠ったことによって生じる損害は非常に大きなものになりかねません。
経営判断によって会社に損害が生じてしまったときや、どのような場合に損害賠償責任が生じる可能性があるのか知りたいときには、企業法務に精通した弁護士にご相談ください。