職場で新型コロナウイルスに感染したら労災になる?

この記事は、公開時点での情報に基づいて執筆されています。

新型コロナウイルスに関する最新の情報は、厚生労働省ホームページ首相官邸ホームページ等をご覧ください。

職場で新型コロナウイルスに感染したら労災になる?

新型コロナウイルスの感染が拡大し、多くの会社が労務管理上の対応を迫られています。

今回は、会社で従業員が新型コロナウイルスに感染したときに労災保険給付の対象となるかについて解説いたします。

業務上疾病とは

労災保険給付の対象となる業務上疾病とは、業務に起因して発症した疾病をいいます。

真夏の道路工事に従事したことにより熱中症にかかった場合などが典型例です。

疾病の業務起因性

新型コロナウイルスのケースで問題になるのは、疾病の業務起因性です。

労働者に発症した疾病が業務上疾病として認められるためには、次の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 労働の場に有害因子が存在していること
  2. 健康障害を起こしうるほどの有害因子にさらされたこと
  3. 発症の経過および病態が医学的にみて妥当であること

これらの要件を満たすときには、業務に起因してウイルスに感染し発症したものであると認められ、労災保険給付の対象となります。

他方で、家庭やプライベートなど、「労働の場」以外の経路で感染に至った場合には業務上疾病には該当しません。

2020年5月19日追記

業務起因性については、厚生労働省のホームページにおいて一定の基準が示されました。

詳しくは新型コロナウイルスへの感染が労災に該当するのはどんなとき?をご覧ください。

立証責任

では、感染経路の立証責任は誰が負うのでしょうか

労働者がかかった病気が業務上の疾病であるかどうかの立証責任は、補償を求める被災労働者の側にあると考えられています。

つまり、労働者自身が「会社で感染した」という立証をすることができなければ、裁判所は業務上疾病という認定はしない、ということになります。

会社の隣の席に新型コロナウイルスの感染者がおり、その者と濃厚接触があったような場合や、医師や看護師として感染者を治療する業務に当たっていた場合は別ですが、実際には感染経路を明確に特定することが困難な場合が多いでしょう。

職場環境配慮義務

もっとも、労働安全衛生法という法律により、会社は快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならないとされています。

これを「職場環境配慮義務」といいます。

新型コロナウイルスなどの感染症にかからないような措置を講じることも当然ここに含まれ、会社がこれを怠れば従業員から損害賠償責任を問われる可能性があります。

職場における新型コロナウイルスの感染拡大防止には最大限の努力を払うようにしましょう。

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