はじめに

ビジネスマン

昨年の11月、厚労省は、企業がパワハラの防止に取り組むことを法律で義務付ける方針を固めました。

これまで、セクハラやマタハラなどに関しては企業に対する防止措置義務が定められていますが、パワハラ対策に関しては法律上の義務はありませんでした。

今後、企業はパワハラについて何らかの対応をすることが法的に求められることとなります。

具体的な対応として、

  • 「懲戒規定を作り周知する」
  • 「社員研修などで再発防止を図る」

などがありますが、内部通報制度の導入も選択肢の一つとなります

パワハラ対策の法的義務化で何をしたらよいのかわからない、企業のコンプライアンス対策を一歩進めたいという企業は、ぜひ内部通報制度の導入をご検討ください。

内部通報制度とは?

内部通報制度

内部通報制度とは、企業内で生じる問題について、その役員や従業員が、社内に設置する社内窓口や企業が委託する外部窓口に対して通報できる制度です。

「通報」というと仰々しいですが、「相談窓口」や「ヘルプライン」などといった名称で設定されているケースが多いです。

この制度とよく似たものに、「公益通報」というものもあります。

公益通報とは、公益通報者保護法に定められた通報制度で、労働者が通報対象事実について行政機関等の外部の第三者に対して行うものです。

公益通報は、通報の対象となる事実が限定されていることや、通報先が外部の第三者に限られている点で、内部通報制度とは異なります。

内部通報制度導入のメリット

内部通報制度自体は設置の義務があるわけではありません。

しかし、内部通報制度を整備することにより、企業内で問題が発生したときにいきなり警察や行政機関等外部に通報されるリスクが下がり、企業防衛に繋がります。

平成28年度に行われた「労働者における公益通報制度の関する意識等のインターネット調査」の報告書によると、労務提供先で不正行為がある(あった)ことを知った場合に「通報・相談すると回答した者のうち、「労務提供先(上司を含む)」に最初に通報すると回答したのは全体の53.3%、内部通報窓口が設置されている企業に所属する従業員では70.5%でした。

内部通報制度を設置することによって、「自浄作用のある企業である」という印象を取引先などに対して与え、社会的評価を得ることも期待できます。

具体的な内部通報制度のイメージ

では、内部通報制度とは具体的にどのような制度なのでしょうか

内部通報制度のイメージを持ってもらうために架空の事例を紹介します。

事例:「株式会社澤戸運送」のケース

30名ほどの従業員を雇っている福岡市の「株式会社澤戸運送」では、顧問契約を締結しているたくみ法律事務所を窓口として、内部通報制度を設置していました。

そんな中、営業部のAさんは、同じ営業部のB部長が、同僚の営業部員Cに対して、パワハラ行為を行っていることを知りました。

B部長は、Cさんに対し、「もっと仕事をとってこい馬鹿野郎!」「小学生でもできるぞ!こんなこと!」などという発言を頻繁にしていました。

Cさんの1年先輩であるAさんは、いろいろと悩んだ結果、通報窓口であるたくみ法律事務所に対して連絡をすることにしました

内部通報制度の導入の際に配られた資料には、通報窓口へは電話・電子メールで通報するとあったので、Aさんはまず電話で連絡することにしました。


電話で通報した際には、向井弁護士が対応しました。

向井弁護士は、匿名での受付も可能であることを説明したうえで、Aさんの所属などの基本情報、不正の内容等の具体的な聴取を行いました。

Aさんは、報復人事を受けるのではないかという懸念を抱いていました。

しかし、内部通報制度規程には通報者に対する不利益的取扱いを禁止する規定があり、弁護士からもそのように説明を受けていたので、安心して報告をすることができました。


その後、その弁護士事務所による調査が始まります。

向井弁護士が関係者に対する調査を行った結果、B部長が実際にパワハラ行為を行っていることが確認されました。

澤戸運送では、その報告を受け、就業規則等の内部規程に則り、B部長は懲戒処分を受けることとなりました

なお、向井弁護士からは調査の状況や結果などについてAさんに適宜報告が行われました。

社内では、このパワハラ問題を受け、再発防止策としてハラスメント研修が実施され、パワハラ防止指針なども改めて策定されることとなりました。

適切な制度設計と運用を

どうでしょう。なんとなく内部通報制度のイメージを持っていただけたでしょうか。

パワハラが発生すると、被害者がうつ病などに罹患し、労災などの問題に発展するケースも少なくありません。

そのようなリスクを未然に回避するための制度設計が重要です。

ただ、実際には制度を悪用した不適切な通報がされるおそれもあります。

明らかな悪用が頻繁に行われるような場合には、服務規律違反として懲戒処分にしたり、通報の範囲を一定程度に限定するなどの対策が考えられます。

また、就業規則などと異なり、内部通報制度自体が実態に沿わない場合には臨機応変に内部通報規程の改訂を行っても問題ありません。

最後に

弁護士壹岐晋大

平成28年度の民間事業者における実態調査によれば、内部通報制度を導入していない理由として、「どのような制度か分からない」「どのようにして導入すればよいのか分からない」「人手が足りない」といった意見が多く挙げられています。

弊所では外部の内部通報窓口として委託をいただいた実績がありますので、内部通報制度の規程の作成など制度構築から実際の運用に至るまでサポートすることが可能です。

遠慮なくご相談ください。

弁護士・中小企業診断士 壹岐晋大

1986年山口県生まれ。
企業法務分野に取り組む際には、『経営者と同じ方向を見る』という姿勢を一貫しており、企業の『考え方』を共有し、『目標を達成』することを大切にしている。

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