副業や兼業を認めたくない企業と認めて欲しい労働者のギャップ

副業

あなたの会社では、副業や兼業が認められていますでしょうか。

このたび厚生労働省所管の「独立行政法人労働政策研究・研修機構」が、全国の従業員100人以上の企業2,260社、労働者約1万2355人を対象に、「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査)」を行いました。

副業の実情は?

この調査によると、副業を「認めている」と回答した企業が約11.2%、「今後認めることを検討している」と回答した企業が約8.4%で、約8割の会社では、現状、会社員の副業や兼業を認めていないと回答していることが明らかになりました。

さらに、対象会社のうち4分の3以上の企業は「今後認める予定もない」と回答しています。

他方で、労働者に対する調査では、約23%の労働者が副業・兼業を「新しく始めたい」「副業の機会や時間を増やしたい」と回答した労働者が37%と、約4割の労働者が副業や兼業を希望しており、副業や兼業を認めて欲しい労働者と認めたくない企業との間にギャップがあることが明らかとなりました。

副業を認めるリスク

企業には、労働者の労働時間を管理し、問題が生じている場合にはそれを改善する義務が課せられています。

長時間労働や過重労働によって労働者自身が体調を崩してしまったり、それが原因となってミスを引き起こし第三者に損害を与えてしまったりした場合には、企業自身が何らかの責任を追及されてしまうことになります。

また、労働者が副業や兼業をすることによって、情報漏洩や利益相反、人材が流出するリスクが高まることもあります。

このような理由から、従来、多くの企業では、就業規則や社内規定で副業や兼業を認めてきませんでした。

「原則禁止」から「原則容認」へ

働き方改革による方針転換

働き方改革

他方で、働き方改革の一環として、政府が企業に対して会社員の副業や兼業を認めるよう推進し、副業や兼業を認めるガイドラインや就業規則モデルを策定していることをご存知の方も多いかとます。

将来的には、副業や兼業について「原則禁止」から「原則容認」する方向へ転換していくことも公表しています。

労働人口の減少に伴い、現在働いている労働者に副業や兼業を認めることによって労働生産性を向上させることが政府の方針の目的とされていますが、副業や兼業を認めることに企業にどのようなメリットがあるのでしょうか

副業を認める2つのメリット

まず1点目として、従業員の成長と優秀な人材の確保が挙げられます。

優秀な人材は、当然、様々な会社から引き抜きの声を掛けられることがあります。

それを契機として優秀な人材が退職してしまうケースも多く、副業や兼業を認め、多様な働き方を認めることで優秀な人材の確保や離職率低下につなげることができるのです。

そして、優秀な人材が副業や兼業をすることによって身につけた技術やノウハウを本業に生かすことも期待できます。

次に、労働人口が減少するなか、新たに優秀な人材を集める手段とすることもできます。

実際に、政府の方針を受けて、今年に入り、求人の際に副業や兼業を認めていることを企業のアピールポイントとしたり、企業のブランディングに用いたりする会社も増えてきています。

副業や兼業を認めるためにすべきこと

就業規則の改定

対策

企業としては労働者に副業や兼業を認めることによるデメリットやリスクがあるのが実情ですので、そのようなリスクが顕在化しないために予め対策を講じておく必要があります。

前述のとおり、現在の就業規則では、労働者の副業や兼業を認めないこととし、許可無く行った場合には懲戒処分の対象となる旨を規定している会社が多いと思います。

そこで、副業や兼業を認める内容の就業規則に変更することが必要となります。

副業を認める範囲に条件を付す

副業や兼業を認める内容の就業規則に変更するとしても、事前の申請や許可を条件とするのか、誰の許可を必要とするか、従事する副業や兼業の範囲(業種、業務内容、勤務地、勤務時間、雇用方法)に限定を設けるか、違反した場合にどのような処分を下すか等を決めておく必要があります。

前述のとおり、副業や兼業をすることによって労働者が体調を崩したり、本業従事中にミスを起こしたりしてしまった場合には企業の責任が問われてしまう場合がありますので、副業や兼業を無制限に認めることはお勧めできません。

特に、情報漏洩の観点からすれば、競合他社での副業や兼業は禁止した方がよいでしょうし、副業の勤務時間は一定時間以内に限定しておいた方が良いでしょう。

いずれにしても、本業に悪影響が生じない範囲内にとどまるよう、何らかの条件を付すことをお勧めいたします

割増賃金の問題

さらに、割増賃金については、労働基準法上、勤務地や事業主が異なる場合でも通算して1日8時間とし、8時間を超えて労働させた企業に割増賃金の支払義務が課されてしまいます。

その意味でも、副業や兼業を行う労働者には、どのようなスケジュールで各業務を行っているのかについて報告を求めた方が良いでしょう

最後に

弁護士向井

ここまでお読みいただいてご理解いただけたかと思いますが、労働者に副業や兼業を認めることにはメリットがある反面デメリットも多くあります。

副業や兼業の条件を定めたり就業規則を改定したりする場面では、専門家に相談のうえ慎重に進めていくことが必要となります。

ご検討されている方は是非一度ご相談ください。

弁護士向井 智絵

鹿児島県鹿児島市出身。
人事・労務管理の問題に注力しており、福岡県弁護士会では労働法制委員会に所属。
労働問題に関する最新の動向も把握しておりますので、是非一度ご相談ください。

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