有名裁判官のとある「つぶやき」が問題に

裁判所

弁護士の櫻井です。

私のような若手弁護士が司法試験受験時代や司法修習時代、そして実務に入ってからもよく『要件事実マニュアル』、『民事訴訟マニュアル』という書籍があります。

かゆいところに手が届く良書であり、調べ物の取りかかりはこの本を使って参考文献や判例を探し、原典に当たることが多いです。

この本の著者は、東京高等裁判所の岡口基一裁判官です。

岡口裁判官は極めて優秀な裁判官という評価ですが(それはこれらの本を読んでも感じます)、その一方でかなりエキセントリックな性格で知られています。

かつてはTwitterで積極的に情報発信していたのですが、白ブリーフ一枚だけの自撮り写真をアップロードしたり、「これからも、エロエロツイートとか頑張るね」などとつぶやき、東京高裁の長官から何度か厳重注意処分を受けたことがあります。

「社員のSNS禁止」は合法?違法?

SNS

そんな中で今回の問題は生じました。

岡口裁判官が関与していないある事件について、岡口裁判官がつぶやいた内容に事件当事者が抗議し、とうとう東京高裁が最高裁に対して岡口裁判官の懲戒を求める申し立てを行うに至りました。

すると、岡口裁判官はその申し立てに対する対応について、全てブログ上で公開しだしたのです。

その中で、東京高裁長官と事務局長が岡口裁判官に対し、「直ちにTwitterを止める」ように強く迫り、止めなければ懲戒を申し立ててクビにすると発言した旨の主張がなされています。

ここでようやく本コラムのテーマです。

会社が社員の私的なSNSの利用を止めるように指示することは合法なのでしょうか

「個の侵害」に当たるか

悩み

結論から言うと、この行為はパワーハラスメントとされて違法となる可能性が高いと思われます。

厚生労働省は職場のパワーハラスメントについて6つの類型に分類しているのですが、そのうちの1つに「個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること」というものがあります。

SNSを就業中に利用しているのであれば別ですが、勤務時間外のSNS利用は自由です。

つまり、この自由な行為を使用者が止める行為は、「個の侵害」と評価されても致し方ないかと思います。

会社に迷惑がかかったら?

ここまで読まれて、「じゃあ従業員がSNSで炎上して、会社にまで迷惑がかかっても止められないのか?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

たとえば、従業員が会社に損害を与えることを意図して書き込みを行っているのであれば、その書き込み自体を削除するよう指示するのは問題ないかと思います。

しかし、やはりSNS自体を止めるよう指示するのは行き過ぎた行為と判断される可能性があります

また、従業員が政治的なツイートで炎上した場合、仮に会社まで抗議の電話が来たとしても、ツイート削除を指示するのは危険です。

政治的なツイートに違法性・不当性がない(違法性・不当性がある政治的ツイートというとヘイトスピーチくらいでしょうか)とすると、炎上させた側に問題はあれど、炎上した側を処分する合理性がなく、同じく行き過ぎた行為とされる可能性があるのです。

さいごに

弁護士櫻井正弘

現在、多くの人がSNSを利用しており、炎上リスクから労働者のSNS利用を制限したいという需要は一定程度あるかと思います。

もっとも、この問題はさじ加減が微妙な問題をはらんでいますので、使用者側として行動を起こす前に弁護士へ相談されたほうがよいでしょう

弁護士櫻井 正弘

福岡県久留米市出身。
顧問企業様のニーズに応え、法的な危険を防ぎながらその利益を最大限獲得することを弁護士の役目と考え、適切なスピード感を持って経営者の悩みに応えることをモットーとしています。

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