約120年ぶりの民法大改正

国会

平成29年5月26日、改正民法が成立しました。

平成31年の秋か平成32年の春頃から施行されると言われています。

今回のような抜本的な民法改正は、実に約120年ぶり、明治時代以来です。

民法改正について、これまでにも消滅時効の改正などの解説をしてまいりましたが、今回のコラムでは、売買契約に関する改正事項のうち、売主が負う瑕疵(かし)担保責任について解説します。

瑕疵担保責任は、このような場合に問題になります

事例

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中古車販売業者であるA社は、B社に対し、中古車Xを販売しました。

X車には、簡単には発見できないエンジンの不具合があり、A社もその不具合を知りませんでした。

A社は、B社から、エンジン不具合が無い前提の価格と販売価格との差額などを支払うよう求められ、最終的に裁判を起こされてしまいました。

契約書がない場合、売主はどのようなリスクを負うことになるでしょうか。

今の民法のルール

A社は、B社から、損害賠償や契約の解除を求められるリスクを負います。

また、A社が賠償すべき損害は、B社が瑕疵を知らなかったがために支出してしまった費用、例えば、X車の登録費用などです。

改正後は買主の選択肢が拡大し、売主が賠償すべき範囲が拡大します

B社は、A社に対し、解除の他に、追完請求(代わりの商品の引渡しや不足分の引渡しを求める)と代金減額請求が可能です。

また、B社が追完を要求し、追完が可能であるにもかかわらず、A社が追完しなかったなどの場合には、損害賠償も可能となります。

さらに、A社が賠償すべき損害は、改正前よりも拡大すると考えられます。

すなわち、A社は、瑕疵を知らなかったことで負った損害だけでなく、瑕疵がなければB社が得られたであろう利益、例えば、B社がX車を転売することで得られたはずの利益なども賠償しなければならないと考えられます。

追完と減額については、現在でも、A社とB社の合意があれば可能ですが、改正により、買主の権利として法律に明記されました。

買主の権利

  • ※1)損害賠償請求と代金減額請求の両方を請求することはできません。
  • ※2)買主が瑕疵の存在を知らず、知らなかったことに責任がない場合に限られます。
  • ※3)契約の内容に適合しないことについて売主に責任がある場合に限られます。
  • ※4)契約を解除した場合、代金減額請求は認められません。

売買契約書、ちゃんと作っていますか?

弁護士向井・澤戸

以上のとおり、契約書がなくても、紛争解決のためのルールはあります。

しかし、トラブルに遭遇してから対処すると、法律の専門家に聞くなどしない限り、どんな責任を負うのか、いくら賠償すべきかなどの点で揉めることになるでしょう。

例えば、B社がX車を使って営業活動を行えたはずなのに、その機会を失ったとして損害賠償を求めた場合に、そもそもA社は賠償責任を負うのか、負うとしてもいくら払わなければならないのかなど、両者の言い分が対立することが予想されます。

そこで、あらかじめ契約書を作っておき、いざトラブルが起きた場合のルールブックにすべきでしょう。

例えば、売買契約書に次のような規定があったとします。

第〇〇条(瑕疵担保責任)
売主は、本物件に隠れた瑕疵が発見された場合でも、買主に対して瑕疵担保責任を負わないものとする。

このような規定が置かれた契約書を作っておくことで、A社は、原則として、瑕疵担保責任(契約不適合責任)を免れることができます(ただし、一般消費者に販売する場合など、責任を免れない場合もあります)。

あるいは、契約書の中で賠償額の上限を決めておくという方法も考えられます。

さいごに

今回の民法改正では、売買契約以外にも、請負契約や賃貸借契約などでも改正がされます。

売買以外の取引における契約書の作成、チェック、民法改正についてのより詳しい情報などをご希望の場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。

その契約書本当に大丈夫?

弁護士澤戸 博樹

静岡県出身。
大学卒業後、民間企業で営業職を経験後に弁護士登録。
営業マンとしての経験を活かし、ビジネスの目線を持って敷居は低く、フットワークは軽く、依頼者のご要望に応えさせて頂きます。

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