先日、福岡県弁護士会と福岡県商工会連合会との共同勉強会が開催され、その中で「中小企業のインターネット問題対策-悪評発信、炎上対策」というテーマで講師を務めさせていただきました。

悪評発信及び炎上の定義について実例を踏まえて説明させていただいた後、それらに対する事後対策、予防策を紹介させていただきました。

今回のコラムでは、悪評発信、炎上についての予防策について簡単に紹介させていただきます。

悪評発信の予防策

①顧客サービスの充実

これは言わずもがなですが、悪評は顧客サービスを充実することで予防することが可能です。

②社員教育の徹底

社員教育で重要な点は、まず結果・責任の重大性を理解させることです。

ネット上の悪評発信が名誉毀損等の権利侵害に該当することによって、数百万円の賠償が認められる事例もあることを、実例を踏まえて説明することが重要です。

また、刑事上も、名誉毀損罪、侮辱罪等に該当する可能性があることを説明する必要があります。

さらに、インターネット上に真の意味での「匿名」というものは存在しない、つまり、匿名でインターネット上の投稿がなされても、開示手続き等を経ることにより発信者の住所、氏名の特定が可能であることを理解してもらう必要があります。

③苦情申出窓口の設置

従業員のガス抜きになる場合も多いため設置によって予防することも考えられます。

また、仮に会社にとって事実無根の書き込みがあった場合に、この窓口にそのような申し出がなかったということが反論の材料になる場面も考えられます

④会社のPC利用の場合のデータ管理

会社が従業員のPCの利用データを管理することで、従業員からの悪評発信に対する抑止力等にもなりえます。

なお、私的なメール等に関する監視については従業員のプライバシー等の調整も考慮すべきでしょう(厚労省・経産省による「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」参照)。

炎上の予防策

①社員教育

炎上についても、悪評発信対策と同様、社員教育が重要です。

炎上については、問題になりやすい発言類型(政治・宗教・思想・人種・歴史観、不良自慢等)を知らせておくことも重要でしょう。

②顧客マニュアルの整備

従業員の不十分な顧客対応が原因で炎上する場合もあります。

実際に従業員を告発するような内容のサイトは多数あります。

③就業規則の整備

炎上のみではなく、悪評発信対策としても考えられるところですが、就業規則上にインターネット利用に関する懲戒事由を作成しておくことも考えられます。

最後に

インターネットは日々進化を続けており、SaaS(Software as a Service)やIoT(Internet of Things)、ビッグデータ等を利用した新たな技術、ワードが日々生み出されています

さらに、法律問題としても、EUで議論されていた「忘れられる権利」や先月大阪地裁が発信者情報開示請求の根拠として認めた「他人になりすまされない権利」等今まで想定していなかったものが問題となっています。

インターネットの影響の大きさから、中小企業としてもインターネット問題に対する意識を強く持って対策を強めていく必要があるでしょう。

インターネット上の問題や企業内研修等のインターネット問題対策等についても遠慮なくご相談下さい。

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