※当記事は2015年10月時点の法令等に基づいて執筆されています。


2015年9月3日、個人情報保護法の改正案が成立しました。(施行は、2017年9月頃と思われます)

改正内容は多岐に渡りますので、複数回に分けて改正の内容をご説明していきたいと思います。

さて、今回の改正の目的は、「個人情報の保護を図りつつ、パーソナルデータの利活用を促進することによる、新産業・新サービスの創出と国民の安全・安心の向上の実現及びマイナンバーの利用事務拡充のために所要の改正を行うもの」とされています。

「パーソナルデータの利活用」とは

「パーソナルデータの利活用」とは具体的になんなのでしょうか。

改正法では、個人情報の定義を明確化(※これまで不明確であった、個人識別符号を含む情報も個人情報となります。)するとともに、「要配慮個人情報」や「匿名加工情報」という概念を規定しました。

個人識別符号の具体の具体的内容は政令で定めるとなっておりますので、まだ明らかとなってはいませんが、マイナンイナンバー、運転免許証番号、旅券番号、基礎年金番号なども個人識別符号となるでしょう。

この加工基準については、新たに組織される個人情報保護委員会の委員会規則で定められることとなっています。

この「匿名加工情報」は、いわゆるビッグデータとして利活用されることが期待されています。

2013年、JR東日本が、利用者の同意を得ることなく、Suicaの利用履歴データを日立製作所に販売していたことが明らかとなり、問題視されました。

今回の改正法では、このような交通機関の利用履歴やネット通販の購入履歴などの個人情報を含むデータから、氏名や住所などの個人を特定する情報を匿名化することで(匿名加工情報)、本人の同意なくビッグデータとして活用できるようにして、企業活動を活発化させようとしているわけです。

また、規制強化も同時に行い、不正な利益を図る目的で個人情報データベース等を提供した場合の刑事罰の新設(個人情報データベース提供罪)や、個人情報5,000件以下の場合は個人情報保護法の適用除外とされていた規定もなくなります。(全事業者が個人情報保護法の規制対象となります)

次回は、この規制強化の側面について解説したいと思います。

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